研究実績の概要 |
アレルギー性鼻炎の病変局所に浸潤する形質細胞が産生する抗体の対応抗原やその浸潤意義は、明らかにされていない。本研究は、ビオチン標識した抗原を組織切片に反応させて、組織内に分布する特異抗体産生細胞を可視化する酵素抗原法により、アレルギー性鼻炎の病変局所に浸潤する特異抗体産生細胞の可視化と浸潤意義の解明を目的として実施した。 平成25年度は、コナヒョウヒダニ抗原(Der f1, Der f2)、ヤケヒョウヒダニ抗原(Der p1, Der p2)、スギ花粉抗原(Cry j1, Cry j2)のビオチン標識抗原の作製を行った。コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、スギ花粉粗抽出液免疫ラットを作製した。そして、免疫ラットのリンパ節組織を対象に酵素抗原法を行い、酵素抗原法で抗コナヒョウヒダニ抗体、抗ヤケヒョウヒダニ抗体、抗スギ花粉抗体産生細胞を可視化できるかどうかを確認した。酵素抗原法により抗コナヒョウヒダニ抗体、抗ヤケヒョウヒダニ抗体産生細胞を可視化できたが、抗スギ花粉抗体産生細胞を可視化することはできなかった。 平成26年度は、アレルギー性鼻炎患者の病変組織と血清と収集した。そして、患者血清における抗コナヒョウヒダニ抗体、抗ヤケヒョウヒダニ抗体、抗スギ花粉抗体価を測定した。アレルギー性鼻炎患者の多くは抗コナヒョウヒダニ抗体、抗ヤケヒョウヒダニ抗体、抗スギ花粉抗体価が高値であった。アレルギー性鼻炎患者の病変組織を対象とした酵素抗原法を行ったが、抗コナヒョウヒダニ抗体、抗ヤケヒョウヒダニ抗体、抗スギ花粉抗体産生細胞を可視化することはできなかった。精製スギ花粉抗原またはスギ花粉そのものを免疫投与したスギ花粉免疫ラットを作製して、酵素抗原法で抗スギ花粉抗体産生細胞を可視化できるかどうかの検討を再度試みた。現在、スギ花粉免疫ラットのリンパ節組織を対象とした酵素抗原法を行い評価中である。
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