研究課題/領域番号 |
25870875
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
柿原 武史 南山大学, 外国語学部, 准教授 (10454927)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / アルゼンチン:ブラジル / 移民 / ガリシア / 少数言語 / 移民互助組織 / 言語教育 |
研究実績の概要 |
本年度はまず前年度までに収集した資料、ブラジルでの調査で得られた情報の整理、分析をおこなった。その結果、ブラジル(特にリオ・デ・ジャネイロ)におけるガリシア人移民のネットワーク形成と言語継承の特徴を明らかにするためには、他の地域へのガリシア人移民の定着過程との比較が必要であることが判明したため、2015年2月20日から3月2日にかけて新たにリオ・デ・ジャネイロとブエノス・アイレスでの調査を実施した。 具体的には、リオ・デ・ジャネイロでは、フルミネンセ連邦大学およびリオ・デ・ジャネイロ連邦大学の研究者に対し、リオの移民社会、言語教育について、リオ州政府教育庁中等教育担当官に対し、リオの公立高校におけるスペイン語教育について、それぞれ聴き取り調査を実施した。ブエノス・アイレスでは、ガリシア人学校Instituto Santiago Apostol校校長に対し、同校の設立経緯や教育方針について、ガリシア人互助組織Centro Galicia Buenos Aires支配人に対し、同組織の設立経緯や沿革について、ガリシア移民博物館研究員に対し、同博物館の概要についてそれぞれ聴き取り調査を実施した。また、ガリシア人互助組織Centro Galicia Buenos Airesのレクリエーション施設を見学した。 この調査により、リオ・デ・ジャネイロではガリシア人移民はポルトガル人移民と同一視され、見えにくい存在となっていたのに対し、ブエノス・アイレスではガリシア人はスペイン人移民の蔑称であったことからわかるように、出自を隠し、言語の継承が行われにくかったことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度実施した調査で明らかになった問題点や疑問点を整理した上で、ブラジルおよびアルゼンチンで調査研究をおこなった。これで概ね問題点や疑問点は解消することができたため、当初の計画通りに進展していると考える。 南米での聴き取り調査では、関係者とのアポイントを取ることが大変難しいが、今回の調査ではほぼ予定していた情報提供者と面会することができたため、順調に研究が遂行できたと言える。 今後は、当初初年次に実施する予定であったスペインの移民送り出し側社会の調査および、移民や帰国移住者による支援でスペインのガリシア側に設立された教育機関などの調査を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では1年目にスペインのガリシア自治州において調査を実施する予定であったが、他の科研費研究との兼ね合いで、1年目にブラジルでの調査を実施した。また2年目にはブラジルとアルゼンチンでの調査を実施したため、スペインでの調査が実施できていない。そのため、次年度は、スペイン・ガリシア自治州での調査を行い、当初の目的を果たし、本研究に一定のめどをつけたい。ただし、これまでの調査で移民のネットワーク形成と言語教育については、さまざまな社会的要因が複雑に絡んでいることが明らかになったため、本科研費の研究期間終了後も引き続き関連調査と研究を継続する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査の出張時に購入した書籍などの資料費の清算手続きが年度内に完了しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
すでに新年度に今年度の資料収集時に購入した書籍の代金の清算手続きを済ませている。
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