融合寺院という既存のヒンドゥー寺院を核とした増築現象を対象に、その空間構成、形成の条件と過程、周辺および景観への影響を、都市・建築・街区の各スケールにおいて明らかにすることを試みた。その結果、対象地の寺院の4割が融合寺院となっていること、この現象が100年以上前から継続的に生起していること、住居の床面積増大という開発圧力を受容し、また土地と寺院の一体的売買など所有権の変化がありつつも、宗教やコミュニティの規範に基づく寺院を維持する強い力が働いており、寺院が変容する都市内の〈定点〉として作用し、都市空間における時間的表現や聖地としての特性の維持に関与していることなどが明らかとなった。
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