本研究では①慢性痛の病態の責任要因を探り、臨床における評価・治療に繋げること、さらに②これらの指標をもとに理学療法の効果検証を進めることを目的とした。 これまで、東京慈恵会医科大学病院ペインクリニックに通院する慢性的な非特異的慢性背部痛患者を対象に以下の調査を行ってきた。対象者は一年以上続く背部痛を有し、痛みの原因と考えられる明らかな器質的要因が認められない20歳から70歳の男女とした。 調査1)基本情報、痛み関連情報(程度、増悪緩和因子など)、抑うつ不安尺度、(HADS:Hospital Anxiety and Depression scale)QOL評価尺度(SF-36)、強迫性傾向評価尺度、疼痛生活障害尺度(PDAS:Pain Disability Assessment Scale) 調査2)理学的評価:疼痛部位(筋)の確認、疼痛の出現様式(運動時痛の有無とその出現様式)、筋柔軟性、関節可動域 調査3)安静および外乱負荷(不安定立位)時の筋活動、姿勢および自律神経活動変化:筋活動変化として傍脊柱起立筋、外腹斜筋、上部僧帽筋の表面筋電図を測定した。姿勢は前額面および矢状面のアライメントならびに骨盤の傾斜角度から評価した。また、自律神経指標として心電図、容積脈圧、末梢皮膚温、皮膚コンダクタンスの変化を測定した。解析は1)から3)の関連性に着目して行った。 これまでに10名の慢性背部痛患者、12名の健常者の測定を行い、データ解析を進めた。
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