| 研究課題/領域番号 |
25870888
|
|---|
| 研究機関 | 大谷大学 |
|---|
研究代表者 |
高橋 真 大谷大学, 文学部, 講師 (80508424)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
| キーワード | 共感覚 / キンギョ / 比較認知 |
|---|
| 研究実績の概要 |
共感覚とは、ある刺激に対して通常の感覚だけでなく、別の感覚が生じる知覚現象である。共感覚は特定の個人だけに生じる感覚として定義されることもあるが、「ざらざらした音」といった比喩表現にも共感覚が関与している可能性もあることから、より一般的な現象としてとらえることができる。
「ざらざらした音」として表現できるような視覚的ノイズと聴覚的ノイズの共通性を、ヒト以外の動物であるラットやハムスターが知覚している可能性が示されていることから、この感覚の起源が哺乳類まで遡れる可能性がある。そのため、共感覚の進化的起源を解明するにはさらにヒトから遠い種との比較が必要である。そこで、「ざらざらした音」として表現できるような視覚的ノイズと聴覚的ノイズの共通性を、ヒトやネズミ目からさらに系統発生学的位置が異なるキンギョを用いて実験を行った。
実験では、キンギョに視覚的ノイズと直線運動の動画を対提示すると同時に、それと対応する聴覚的ノイズか、それと対応しない1000Hzの純音を提示した。この時、提示された視覚刺激に対してキンギョの滞在時間が異なるかどうかを調べた。個体数が少ないため、統計的に有意な結果は得られなかったが、聴覚的ノイズが提示されたときに、視覚刺激に対する滞在時間が異なる可能性が示された。この結果は、共感覚の進化的起源が哺乳類より以前に存在している可能性を示唆する。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、平成26年度の段階でキンギョの実験を終え、その問題点の検討とさらなる研究を行う予定であった。しかしながら、これまで大谷大学での動物実験の実績がないため、その整備のための規定の確認、実験実施場所の確保が遅れてしまい、共同研究先の金沢大学でのみの研究で終わってしまった。
ただし、上述の問題は学内での整備体制を確立してもらったため、平成27年度より実施可能になっている。このことから、計画全体の遅れをカバーできる。
|
| 今後の研究の推進方策 |
金沢大学で平成26年度に行ったキンギョの追加実験を行い、研究の成果を国内外の学会で発表する。これとともに、これまでの研究成果を論文として海外の学会誌に投稿する。
また、高校生に対する模擬授業等で一般に対しても公表していく。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
キンギョの実験場所の確保が遅れたことにより、飼育設備の購入、および、被験体の購入分として計上していた金額が差額として生じた。
|
| 次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に生じた差額分は、大谷大学でのキンギョの実験に用いる。さらに、平成26年度に実施した予備実験の問題点の改善をする実験のための予算として利用する予定である。
|
