研究課題/領域番号 |
25870893
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
米原 厚憲 京都産業大学, 理学部, 准教授 (10454472)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 系外惑星 / マイクロレンズ現象 / クェーサー |
研究実績の概要 |
本研究は、系外惑星の多様性を探るため、多重像を持つクェーサーの理論的、ならびに、観測的研究から、銀河系外に存在する太陽系外惑星の探索の実現を試みるものである。 まず理論的研究については、昨年度に引き続き、GPGPUを用いた高速数値計算の実装に取り組んできた。専用言語CUDAのアップデートによるプログラミングの効率化への対応を行い、単一の恒星と惑星によるマイクロレンズ現象による増光パターンの計算の効率化を行った。現在は、クェーサーマイクロレンズ現象の状況下での増光パターンの計算コード作成へと移行している。 一方で観測的研究については、継続して所属する研究機関の天文台を利用した、多重像を持つクェーサーの2色同時モニタリング観測を実施してきた。天候に恵まれなかったこともあり、実際の観測は予定の半分以下であり、取得したデータの数・質ともに十分とは言えなかった。集中的に観測している2天体について、DIAによる解析を行い、クェーサーの光度変動抽出を行った。多重像を分解できたクェーサーについては、多重像間の時間の遅れの補正を行った結果、マイクロレンズ現象候補を検出するに至ったが、観測データの重なりが少なく、より確かな結論に至るまでに、引き続き観測データの取得が必要である。また、多重像に分解できないもう1つのクェーサーについても、マイクロレンズ現象の検出に成功したが、多重像の空間分解ができていないことが原因で、その増光の強度を定量的に評価することができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DIAによる解析の調整に重点的に力を入れたが、所属研究機関の天文台で取得できるデータの質や昨年度の天候が悪かった。そのため、時間を費やした割にマイクロレンズ現象は検出できたが、解析方法の工夫にもかかわらず、マイクロレンズ現象の強度の定量的評価が難しいということが明らかになった。 また、専用計算機(GPGPU)を用いた理論計算については、恒星・惑星系による増光パターンの計算に基づく、銀河系内のマイクロレンズ現象の光度曲線フィットを実行可能にするなど、昨年度よりは進んでいるが、実際にクェーサーのマイクロレンズ現象に対する増光パターンを計算できるまでに至っておらず、やや遅れていると言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
観測データの取得については、可能な限り所属研究機関の天文台での観測を推進していくが、観測効率やデータの質を考慮すると、他の可能性についても検討する必要があると考えている。 現在までは、比較的観測データの解析に力を入れてきたため、理論的研究の遅れが目立っているので、今年度は計算コードの開発を含め、理論的研究により力を入れていこうと考えている。
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