研究課題
若手研究(B)
本研究では神経細胞の移動様式の変化を周囲の血管網がどのようにして制御しているかを明らかにすることを目的としている。ところが、脳形成期における血管網形成はこれまで十分に理解されてこなかったため、血管レポーターマウスの脳切片を発生の各ステージで固定して、血管網形成の様子を詳細に観察することが必要であった。そこで、血管レポーターマウスとしてFlt1-tdsRed BAC Tg マウス(Matsumoto et al. Genesis, 2012;50:561-71)を用いて、脳内に血管が進入し始める胎生9日目から神経細胞移動が終了し神経組織の基本構造が概ね完成する生後5日目までの厚切切片を共焦点顕微鏡で深さ情報を含めて撮像した。さらに、得られた画像から、脳血管網を発生時期・領域毎に密度やその形状を定量解析して血管網の規則的なパターンの特徴を整理したところ、脳の血管網は領域や発生の時期毎に密度が異なることが示された。また、それぞれ領域により血管の方向性も異なることが示された。次に、脳の領域ごとの血管網が神経細胞移動に与える影響を検討している。各領域の血管網の遺伝子発現の違いを調べるために、血管レポーターマウスの脳組織から様々な脳の領域を切り出して、FACSを用いて各領域の血管内皮細胞を回収し、それぞれの遺伝子発現の違いを検討しようと試みた。しかし、組織中の血管内皮細胞の割合が低く、必要なサンプルの採取に難航している。
3: やや遅れている
実験施設の許容量などの都合により実験に必要な遺伝子改変マウスの繁殖が予定通り進まず、十分な量の実験マウスが得られなかった。また、FACS実験では当初想定していた以上に多量のサンプルが必要であることが分かり、予定より研究がやや遅れてしまった。
今後、神経細胞の移動様式の変化を周囲の血管網がどのようにして制御しているかを追究するために、まず進行中である脳の領域ごとの血管内皮細胞における遺伝子発現の違いを解析する予定である。また、平行して血管レポーターマウスの脳スライスの培養系を用いて、血管および移動神経細胞を同時に可視化する実験を行い、血管新生を阻害したときの神経細胞移動への影響を検討する。以上の方針で神経細胞移動に周囲血管網がどのような影響を及ぼしているかを解析する予定である。
実験施設の許容量などの都合により実験に必要な遺伝子改変マウスの繁殖が予定通り進まず、十分な量の実験マウスが得られなかった。また、FACS実験では当初想定していた以上に多量のサンプルが必要であることが分かり、予定より研究がやや遅れてしまった。以上の原因により次年度使用額が生じた。今後、神経細胞の移動様式の変化を周囲の血管網がどのようにして制御しているかを追究するために、まず進行中である脳の領域ごとの血管内皮細胞における遺伝子発現の違いを解析する予定である。また、平行して血管レポーターマウスの脳スライスの培養系を用いて、血管および移動神経細胞を同時に可視化する実験を行い、血管新生を阻害したときの神経細胞移動への影響を検討する。以上の方針で遅れを取り戻して当初予定していた計画通りの予算使用をする。
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EMBO Molecular Medicine
巻: 6 ページ: 414-29
10.1002/emmm.201303069