研究課題/領域番号 |
25870902
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
田畑 裕幸 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (70378785)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 細胞内情報伝達 / 膜輸送 / 初期発生 |
研究概要 |
ほ乳類細胞の酸性オルガネラは細胞内において、シグナル伝達に関わる分子の輸送や分解を行う。その過程では、複数の膜融合因子からなる複合体がオルガネラの膜同士の融合をコントロールする。申請者らは酸性オルガネラの膜融合機構について解析を行う過程で、胚の胎盤組織(栄養外胚葉)を 特異的に欠失するマウス(Vam8遺伝子欠損マウス)を得た。 将来胎盤になる細胞集団から栄養膜幹細胞(TS 細胞)を樹立する方法は既に確立されているが、TS 細胞の分化・増殖を制御する機構については不明な点が多い。本研究では、任意の時期にVam8遺伝子の欠損が可能なTS細胞を用いることにより、酸性オルガネラの膜融合因子が将来胎盤 になる細胞集団の増殖シグナルをどのように制御しているのか解明する。 1.Vam8遺伝子欠損栄養膜幹細胞(Vam8欠損TS 細胞)の樹立 条件付きVam8 遺伝子欠損(Vam8 flox)マウスの初期胚(胚盤胞)から3ロット分のTS細胞株を樹立した。 2.TS細胞の増殖能と分化状態の確認 Vam8 flox TS 細胞では、Cre発現アデノウイルス処理によってVam8の発現が消失するが、Cdx2の発現が維持されていることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに、Vam8 floxマウスから3ロット分のTS細胞株を樹立したが、ロット間またはCre発現アデノウイルス処理を行う前の段階で、野生型TS細胞とVam8 flox TS細胞との間の増殖能に違いが認められるため、細胞増殖シグナルの解析に着手できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
Cre発現アデノウイルス処理を行う前の段階で、野生型TS細胞とVam8 flox TS細胞との間の細胞増殖能が同等のTS細胞株を調製する必要がある。近年、哺乳類細胞において、リソソームがmTORシグナルの活性化に必須であることや、mTORシグナルとAMPKシグナルが互いに制御し合い、細胞周期の進行を調節することが報告されている。今後は、栄養膜幹細胞(TS細胞)の酸性オルガネラがmTOR-AMPKシグナルや細胞周期進行シグナルの制御に関与するのか解析を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初計画よりも実験の進捗が遅れたため。 研究計画の進行に伴って使用していく。
|