最終年度である平成27年度は、ボランタリー地理情報の流通実態の解明に向けて、主に日本のOpenStreetMapの整備状況ならびに日本の自治体のオープンデータ公開状況について分析を行った。さらに、後者についてはオープンな地理空間情報を多様な主体が利活用できるようなプラットフォームが未整備であることから、その構築を行った。
(1)OpenStreetMapの日本での整備状況の中でも主要道路については概ね入力がされているが、市道よりもミクロな生活道路などの単位については特に中山間部において未整備な部分が多い。これは既存のWeb地図でも同様の課題を抱えており、OSMでの集中的な整備が望まれる。また、こうした情報資源はクライシスマッピングの基盤地図としても機能することが期待できる。
(2)OSMを中心とするボトムアップ型のデータを補完する意味で、日本でもオープンデータの重要性が認識されているが、これらは各自治体によって個別バラバラに公開されることが一般的であり、クローリングなど自動取得にも向かない。そこで、DKANと呼ばれるデータポータル機能を備えたプラットフォームを試行的に構築し、当研究で収集した地理空間情報の格納を行いその特性を検討した。その結果、AEDなど特定のオープンデータについては、OSMのようにほぼ項目も各地域共通であるが、公共施設を始め、線・面のデータについては項目もまちまちで、これらをマージして使いたい場合課題となる。他方、原則各自治体単位で整備されてきたオープンデータを一度に検索・抽出できることで、特定のテーマに基づくオープンデータのボリュームを概算することが可能になった。
|