本研究では、「ポスト構造主義以後」の存在論の顕著な動向である「思弁的実在論」の分析と紹介を行った。なかでもフランスのカンタン・メイヤスーを中心的に扱い、英語圏のグレアム・ハーマンらと比較しつつ、思弁的実在論の核心を「絶対的無関係」として明確化していった。かつ、その考察のなかで、ジル・ドゥルーズにおける関係の「切断」の重要性を示す議論の練り上げもなされた。最終的には、思弁的実在論における「無関係論」は、事物についての多様な解釈可能性を擁護する従来の人文学からは区別され、それに並置される哲学的観点として、事物の「無解釈的」な存在様態を捉えるものである、という結論に至った。
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