本研究では,特に接近・後退運動する物体を追従時の注意の特性に着目し,(1)奥行き方向に移動する物体を追従時に生じる追従物体またはその前後の物体の消失に対する反応時間,(2)追従を伴わない場合の注意の奥行き方向への分布特性,(3)水平方向に移動する物体の追従における注意容量の影響,について検討した.結果は,追従方向にある物体の消失に対して,逆方向に比べて反応時間が短縮すること,眼を静止させた状態での注意は注視位置をピークとして奥行方向にも分布すること,追従の正確性と反応時間の間にトレードオフ関係があることが明らかとなった.
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