研究課題/領域番号 |
25870919
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
近藤 俊太郎 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (00649030)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 反宗教 / 宗教批判 / マルクス主義 / 親鸞 / 国体 / 服部之総 / 家永三郎 / 二葉憲香 |
研究概要 |
近代日本における反宗教運動と仏教の論争の全体像をあきらかにするという目的のもと、2013年度は、①反宗教運動の関係史料の調査・蒐集、②マルクス主義の衝撃を受けた人々による宗教批判、③マルクス主義の宗教論に対する批判、という3点から研究を進めた。 ①については、龍谷大学図書館・法政大学大原社会問題研究所・東京大学近代日本法制史料センターなどの関係機関への出張などを通して、貴重な史料を数多く蒐集することができた。反宗教闘争同盟準備会と日本反宗教同盟など、反宗教運動の中心的役割を果たした運動体の機関誌については目録を作成した。 ②については、「戦後親鸞論への道程-マルクス主義という経験を中心に-」(『仏教文化研究所紀要』第52集、龍谷大学仏教文化研究所、2014年)と題した論文を執筆し、そのなかで1930年の『中外日報』紙上における三木清と服部之総による「マルクス主義と宗教」論争と、反宗教運動のなかで形成された親鸞像について考察を加えた。反宗教論の理論的次元の検討は、おそらくこの三木・服部論争が頂点であり、その後の反宗教論が、眼前の現実との格闘を経ずに、宗教=阿片論を機械的に振り回す教条的性格を脱しえなかったと指摘した。ただし、具体的にどのような議論の応酬がったのか、あるいは運動がどう展開したのかについては、引き続き分析・検討する必要がある。 ③については、上記の論文で、反宗教論を積極的に受容した妹尾義郎と柏木義円を分析したほか、戦後にマルクス主義の宗教論に対する批判を通じて、みずからの仏教史研究の方法を構築していった二葉憲香の親鸞論を検討し、龍谷大学仏教文化研究所第4回談話会、日本宗教学会第72回学術大会(於國學院大学)その他で報告した。 また、そのほかに、『天皇制国家と「精神主義」―清沢満之とその門下―』(法藏館、2013年6月)と題した単著を刊行し、研究成果を世に問うた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、反宗教闘争同盟準備会および日本反宗教同盟など、1930年代に出発した反宗教運動の関係史料の蒐集を中心に行った。これについては、関係機関の協力もあって、貴重な史料を多く蒐集できた。特に、福嶋寛隆氏(龍谷大学名誉教授)と中西直樹氏(龍谷大学教授)の協力によって、史料蒐集については当初予定していた以上の成果を上げることができた。他にも、法政大学大原社会問題研究所での調査では、研究所の客員研究員をつとめる大谷栄一氏(佛教大学准教授)の協力のもと、多くの関係史料の蒐集に成功した。以上の成果を踏まえ、重要な史料については目録を作成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
反宗教運動の関係史料の蒐集には大きな成果があったが、仏教徒による反宗教運動批判の関係史料については、今後も継続して蒐集に努める必要がある。 ただし今後は、蒐集した史料の分析作業を本格化しなければならない。すでに中西直樹氏(龍谷大学教授)や斎藤信行氏(龍谷大学非常勤講師)らの協力もあり、蒐集した史料の整理を進めているので、早急に分析作業に着手したいと考えている。 2014年度も、いくつかの研究会や学会での研究発表も予定しているので、そうした機会を活用しつつ、論文等の成果にまとめる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
残額があまりに少額であったため、本研究に相応しい使用方法および今年度中に使用しなければならない必然性がないと判断した。 上記のような理由なので、使用計画に大きな変更はない。
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