研究課題/領域番号 |
25870925
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
森田 忠士 近畿大学, 経済学部, 准教授 (50635175)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 多国籍企業 / 貿易の自由化 |
研究実績の概要 |
TPPなど貿易の自由化が進展している現状を踏まえ、貿易の自由化が日本国内に与える影響について研究する必要がある。そこで、平成25年度は多国籍企業の行動を考慮したとき、貿易の自由化が国内の経済厚生に与える影響についての理論的研究を行った。本研究での多国籍企業とは、自国のみに生産拠点を持つ企業ではなく、自国と外国に生産拠点を持っていたり外国のみに生産拠点を持っていたりする企業を想定している。一つ目の研究は、国が二国しかないと仮定したとき、貿易の自由化によって多国籍企業の行動はどう変化するのか、そして経済厚生は上昇するのか、ということについて分析を行った。二つ目の研究は、一つ目の研究を拡張して国が三国あるというより一般的な理論的枠組みを構築した。ここで、三つの国のうち二つの国の間で貿易の自由化が締結された状況に注目した。この状況は、日本がTPPに参加しなかった場合経済厚生はどうなるのか、という問題に焦点を当てている。そこで、一つ目の研究と同様に、貿易の自由化が多国籍企業の行動と経済厚生に与える影響について分析を行った。各々の研究から得られた結論は以下の通りである。 一つ目の研究より、貿易の自由化によって多国籍企業は海外に生産拠点を持つことを止めて、海外に輸出する、という戦略を取ることが分かった。その結果、多国籍企業の対外直接投資が減少し、両国の輸入額が上昇することで経済厚生が減少することが示された。 二つ目の研究より、二国間の貿易の自由化によって、多国籍企業は自由貿易圏内の国への対外直接投資額を減少させることが分かった。その結果、自由貿易圏内の国同士の輸出入額が増大することによって、それらの国の競争が弱められることが分かった。その結果、自由貿易圏外の国にある企業の利潤が増加し、自由貿易圏外の国の経済厚生が改善する可能性があることを示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年度は研究計画通り論文を完成、投稿することができた。また、現在2015年度に行う予定である研究のモデル構築の目途が立っているので、順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は国内外で積極的に研究報告を行い、研究の質を高めていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
去年度、行くべき学会に参加することができず研究費を使用することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
国内外の学会に参加し、研究報告を行う。 研究のために、実際のデータを用いて理論モデルを検証するため数値計算ソフトを購入する予定である。
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