研究課題/領域番号 |
25870925
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
森田 忠士 近畿大学, 経済学部, 准教授 (50635175)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 貿易の自由化 / 失業 |
研究実績の概要 |
TPPなど貿易の自由化が進展している現状を踏まえ、貿易の自由化が日本国内に与える影響について研究する必要がある。そこで、平成26年度は多国籍企業の行動を考慮にいれた場合、貿易の自由化が失業率に与える影響についての理論的研究を行った。この研究において、多国籍企業は利潤を最大にするよう自由に生産場所を決定していると仮定している。そして、多国籍企業がある国に立地して生産を開始する際に、労働者と出会わなければ生産ができない状況を考えた。また、労働者にとっても多国籍企業に雇ってもらわなければ賃金所得を得ることができず、摩擦的失業が存在する状況を想定した。以上のような状況下において、二国間の輸送費用の減少すなわち貿易の自由化が失業や経済厚生にどのような影響を与えるのか、という問題に対する答えを出した。これ加え、貿易の自由化が自国の経済厚生を最大にしたいと考えている政府の最適政策に与える影響についても分析を行った。 以上の研究によって、以下の三つの結果を得ることができた。一つ目は、貿易の自由化は失業率を下げ、そして経済厚生を高める可能性があることが示された。二つ目は、企業にとって労働者の探索費用が下がると失業率を下げ、そして経済厚生を高める可能性があることが示された。三つ目は、政府の最適政策は企業に補助金を与えて、多国籍企業を引き寄せることであることが分かった。しかし、その場合の補助金額は、2国の政府が協調して補助金率を決定する場合に比べて高いことが分かった。したがって、WTOといった国際組織は多国間で補助金額の一斉引下げを行うべきである、という結果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年度は2014年度に行った多国籍企業の行動に関する研究に関して、研究計画通り論文を完成、投稿することができた。また、現在2016年度に行う予定である研究のモデル構築の目途が立っているので、順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、貿易の自由化と失業との関係に関する論文をもう一つ進めている。今後は国内外で積極的に研究報告を行い、研究の質を高めていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会に参加することができず、予定していた費用を支払うことができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度学会に参加できなかった研究費を性能の高いパソコンやソフトウェアを購入する予定である。
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