研究課題/領域番号 |
25870926
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
篠永 ゆかり 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (70531961)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | イオン注入 / フッ素 / 銀 / 抗菌性 / 表面物性 |
研究概要 |
本研究は立体的な口腔内装置表面に,抗菌性および防汚性を有するフッ素イオンと抗菌性を有する銀イオンとをプラズマイオン注入法を用いて同時に注入することにより装置表面を改質し,抗菌性,最近付着抑制およびプラーク易離脱性を付与することを目的としている。平成25年度はアクリルレジン(PMMA)平板においてその表面物性および細菌学的評価を行った。まず,試料作製についてであるが,PMMA平板をプラズマベースのイオン注入・成膜装置内の試料台に貼り付け,その10mm上方に純銀製メッシュを設置した。その後チャンバー内にフッ化物ガスを充満させ,高エネルギーパルス電圧を印加することによってフッ素イオンおよび銀イオンをPMMA平板表面に注入した。次に作製した試料表面をエックス線光電子分光分析装置(XPS)にてワイドスキャン測定にて表面構成元素の分析を行った。その結果,フッ素および銀のピークが検出され,プラズマベースのイオン注入・成膜法によるPMMAのような帯電性の試料へのイオン注入,しかも2種類のイオンが同時に注入できることが可能であることが示された。さらに,平成25年度は一般細菌である緑膿菌の抗菌性試験をATP発光測定法により行い,フッ素および銀イオン注入試料において緑膿菌の増殖抑制が認められた。また,口腔内細菌で齲蝕原性細菌であるストレプトコッカスミュータンスを用いた抗菌性試験の条件設定等の研究方法の検討も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PMMA平板試料の評価においては,口腔内細菌に対する細菌学的評価の研究方法を現在模索しているがその他表面物性分析については概ね順調に進展している。 また,最終年度で予定している義歯型試料へのフッ素イオンおよび銀イオン注入の計画についての平成25年度より進行を進めており,その点においても非常に順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度より大学院生1名が本研究に協力することになった。これは非常に大きな推進方策と言える。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度以降に計画している義歯型試料へのイオン注入に予想以上に費用がかかる見込みであるため,当該年度分を次年度に繰り越した。 平成26年度はさらに細菌学的な評価を進めるための試薬購入や,国内外の学会における研究成果の発表および平成25年度で得られた研究成果についての論文投稿にかかる費用に使用する予定である。
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