研究課題/領域番号 |
25870936
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
谷口 亮人 近畿大学, 農学部, 助教 (10548837)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | クロマグロ養殖 / サンゴ / サンゴ粘液 / ブロモデオキシウリジン / ARISA / CARD-FISH / 細菌鍵種 |
研究概要 |
近畿大学奄美実験場のクロマグロ養殖場では、サンゴが群棲している。環境に負荷を与える魚類養殖ときれいな海の象徴であるサンゴが共存しているこの事実は、至妙な物質循環が成立していることを示唆する。本研究では、サンゴが放出する粘液に注目して、この物質循環を支える細菌を解析した。具体的には、海水試料、ならびにサンゴ粘液をシリンジで直接採取した試料(粘液試料)および海水試料と粘液試料を混合した試料(混合試料)を用意した。平成25年度は、既得試料(平成21~24年5月および10月)と新規採取試料(平成25年5月および10月)の試料において、細菌群集構造を解析した。さらに、非養殖場海域における試料(既得試料)においても、細菌種の特定を行った。本研究では、増殖活性のある細菌群のみを標的にすることができるブロモデオキシウリジンを用いたDNAトレーサー法と、多様性解析手法の一つであるリボソーム遺伝子間転写領域自動解析あるいはCARD-FISH法を組み合わせて、サンゴ粘液によって増殖してくる細菌群の動態を明らかにした。 現在のところ、粘液試料および混合試料においてのみ活発に増殖していた細菌を11種を特定した。これらのうち、6種はもともとの全体の細菌群では検出されなかった。一方で、粘液が加わると増殖活性がなくなる細菌種が9種存在した。活発に増殖している細菌の組成はAlphaproteobacteriaとBacteroidetesに属する細菌系統群で半分以上が占められていた。しかし、同じAlphaproteobacteriaに属していても、サンゴ粘液によって活発に増殖する系統群とそうでない系統群が存在していた。本研究で対象とする養殖場域では、AlphaproteobacteriaやBacteroidetesに属する系統群が重要な細菌群であることを示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度では、当初計画通りの試料を採取することができた。また、採取した試料の約9割で解析を終了している。さらに、多様性解析手法2種類を使って、サンゴ粘液によって増殖する細菌に関する重要な知見を得た。一方で、当初計画にはなかった非養殖場海域におけるサンゴ粘液の影響も調べるために、その影響を受けた細菌種の特定も行った。以上のことから、現在までの達成度を「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度では、さらに新規試料を採取し、サンゴ粘液に対する細菌群の応答が普遍的であることを確認する。それらの試料を用いて、細菌鍵候補種の絞り込みを行い、その細菌種の細菌生産への貢献度を見積もる。その結果から、細菌鍵種を少なくとも2~3種特定する。日本微生物生態学会大会および日本水産学会にて成果発表を行う。さらに、これらの成果を国際誌にて発表する。
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