研究課題/領域番号 |
25870941
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
片岡 誠 摂南大学, 薬学部, 講師 (00340860)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 薬物間相互作用 / CYP3A4 / CYP阻害 / 代謝物毒性 |
研究概要 |
平成25年度は以下の項目について検討した。 1)CYP3A4阻害による代謝物の体内動態変化におよぼす要因の解明 ミダゾラム(MDZ)およびフェロジピン(FLD)をCYPで代謝を受ける薬物のモデルとして、さらに1-アミノベンゾトリアゾール(ABT)をCYP酵素の阻害剤として種々の検討に用いた。ラットにMDZまたはFLDを投与した後の各代謝物(MDZは水酸化体、FLDは脱水酸化体)の体内動態におよぼすCYP阻害の影響(著しい代謝物の血中曝露量の増大)の要因を明らかにするために、各代謝物の静脈内投与試験を行った。その結果、ABTによるCYP阻害によって代謝物の全身クリアランスが低下していたものの、MDZおよびFLD投与後の代謝物血中曝露量はその変化と比較しても著しく増大した。加えてラット肝ミクロソームを用いた薬物代謝試験を行い、in vitroでの酵素阻害条件下における代謝物生成を観察した。 2)代謝物の体内動態を記述する数理モデルの構築 代謝物の体内動態を記述する数理モデルの構築を目的として、先のin vivoおよびin vitroでの検討で得られた結果に関して、動態学的解析を行った。その結果、代謝酵素非阻害時では肝細胞内で生成した代謝物が逐次的にさらに代謝を受けるのに対して、酵素阻害時では代謝物のさらなる代謝も阻害されるため肝細胞から代謝物の遊離量が増大していることを示唆する解析結果が得られた。今後はさらなる検討および詳細な解析が必要であると考えられた。以上のことから、薬物間相互作用によって予期し難い代謝物の血中曝露量増大が引き起こされる可能性を示唆しており、薬物代謝酵素が阻害された場合には、未変化体のみならず代謝物の血中曝露量の変動についても十分な注意が必要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究成果を受けて、平成26年度は以下の項目について検討を行う。 1)薬物経口投与後の代謝物の体内動態を記述する数理モデルの構築 さらに詳細な肝細胞における薬物代謝と代謝物の遊離に関する検討を行う。具体的には、肝ミクロソームに加えて、肝遊離細胞を用いてMDZやFLDの薬物代謝と各代謝物の細胞内濃度変化ならびに肝細胞からの代謝物の遊離量などを測定する。得られた結果より、本実験系における数理学的モデルを構築し、肝ミクロソームからの結果との対応を精査する。さらに、in vivo試験との対応も併せて精査し、モデル構築を試みる。 2)数理モデルを用いたラットにおける代謝物の体内動態を予測するための手法の構築 先の検討で得られたモデルの妥当性および有用性を検証するために、MDZやFLD以外のモデル薬物を用いた検討を行う。必要に応じて検討項目1)に戻り、最適なモデルの構築を行い、本申請研究の最終成果とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の進捗は当初の計画通りに進んだが、物品購入金額の都合上「次年度使用額(B-A)」欄が「0」以下にならなかったためである。 「次年度使用額(B-A)」欄に記載されている534円については翌年度分として請求した助成金と合わせて当初の研究計画に準じて使用する予定である。
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