研究実施計画に沿って、以下の三つの課題を中心に研究を実施した。 第一に、山王神道関係資料の整理である。山王神道の伝書には、まだ本文が公開されていないものが多数ある。すでに公刊されている資料を収集し、さらに日吉大社、国立公文書館内閣文庫、国文学研究資料館、早稲田大学教林文庫、叡山文庫などに調査に赴き、必要な資料を閲覧、調査した。それらをもとに縁起説・本地説を中心に言説の整理・データ化を行った。 第二に、「山王霊験記」諸本の整理である。「山王霊験記」には、一般的に利用されている妙法院蔵「山王絵詞」及び群書類従所収「日吉山王利生記」の他、諸本が存在する。その中でも、本文研究のために不可欠な国立公文書館内閣文庫本と、早稲田大学教林文庫本を閲覧、調査した。これらにより本文の校異を取ることで、本文を校訂し、山王霊験説話の研究を進めることが可能となる。 第三に、文学作品を中心とする山王神道の言説・説話の収集・整理である。公刊されている資料を中心に、必要な言説・説話を収集し、整理を進めた。 以上の研究を進める中で、中京大学図書館蔵「日吉参社次第」(室町時代写)は、中世の日吉社の言説を伝える、重要な資料であることを確認した。いずれ全体を紹介することを期したいが、まずはこの資料を位置づけるべく研究論文を執筆した。平成26年度に発表予定である。 また、「山王霊験記」及び山王神道関係資料の言説の整理により得られた成果をもとに、研究論文を執筆した。平成26年度に発表予定である。
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