平成25・26年度の研究を継続し、研究実施計画に沿って、以下の三つの課題を中心に研究を実施した。 第一に、山王神道関係資料の整理である。山王神道関係の伝書には、本文が公開されていないものも多数ある。前年度に引き続き国文学研究資料館、国立公文書館、叡山文庫などの調査に赴き、また諸機関から必要な資料の写真を取り寄せるなどして、収集した。それらを整理しつつ、縁起説・本地説を中心に諸言説の整理・データ化を進め、研究に活用できる形に整えた。 第二に、「山王霊験記」諸本の整理である。「山王霊験記」には、活字化され広く利用されている妙法院蔵「山王絵詞」及び群書類従所収「日吉山王利生記」の他、多くの諸本が存在する。前年度に続いてそれら諸本、及び関連する資料の調査を行い、また研究者との情報交換も進めた。これにより、諸本の本文を整理し、異同などを確認するに至った。 第三に、文学作品を中心とする山王神道の言説・説話の収集・整理である。前年度に続いて、公刊されている資料を中心に、必要な言説・説話等を収集し、整理を進めた。これについては完成の段階に至るものではないが、今後の研究に活用されうるものである。 以上の研究を進める過程で得られた知見をもとに、研究論文を発表した。平成28年度にも発表予定である。
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