研究課題/領域番号 |
25870945
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
山崎 達志 摂南大学, 理工学部, 准教授 (00368458)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 制御工学 / 離散事象システム / スーパバイザ制御 / 最適制御 / リスク |
研究概要 |
離散事象システムは,事象の非同期的・並行的な遷移により状態が離散的に遷移するシステムのクラスであり,生産システム,通信システム,データベースシステムなど,大規模・複雑化が進んでいる様々な人工システムのモデル化に有効である。スーパバイザ制御では,離散事象システムに対し,与えられた論理的な制御仕様を満足するように,生起を許可する事象の集合を指定する。さらに,期待コストや最悪ケースにおけるコストなどの定量的な評価指標を用いた最適スーパバイザの設計法も研究されている。 システムの抱えるリスクを陽に考慮することは,安心安全な制御系設計のために重要であると言える。本研究では,定量的なリスク保証と制御性能の双方を考慮した,新たな最適スーパバイザ制御機構を構築することを目的としている。本年度の研究では,上記の目的を達成する最適スーパバイザ制御のための基本方策を示すことを目指した。スーパバイザにより制御される離散事象システムを,事象の生起および禁止にかかるコストを考慮したマルコフ決定過程として定式化した上で,システムが含有するリスクを,制御仕様から外れる確率から定量的に表すとした。そして,Bellman最適方程式を構成し,リスク回避の点から最適なスーパバイザを動的計画法に基づき設計する手法を示した。しかし,システムの抱えるリスクを完全に無くすためには,その挙動を極端に制限するこが必要になる可能性がある。そのため,ある程度のリスクは許容できるという状況を想定し,リスクが一定以下になることを保証した上で,期待コストとリスクの双方を考慮した最適なスーパバイザを構成するリスク保証型最適スーパバイザの設計法についても示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の主目的は,安全性・信頼性を定量的に保証した上での最適スーパバイザ制御のための基本方策を示すことであった。基本的な定式化と,リスク保証型最適スーパバイザの設計法について示せたことから,おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に得られた,リスクを定量的に保証した最適スーパバイザ制御に関する基本モデルに対し,平成26年度以降は,リスクの扱いや,より広いシステムのクラスへの適用などに関しての拡張を行う。特に,対象となるシステムが大規模複雑な場合を陽に考慮した上での検討を進める。離散事象システムでは,複数のローカルシステムからなる分散離散事象システムの全体モデルは,個々のシステムを表すオートマトンの合成により得る場合が多いが,そのため容易に状態数が増大し状態空間爆発に至る。これに対し,近年の動的計画法,強化学習などの機械学習からの知見および,LLP(Limitead Lookahead Policy)型のスーパバイザの適用などの観点から検討を行う。大規模離散事象システムに対しても有用な定量的リスク保証型最適スーパバイザの記述モデルとその設計法を示し,実用的な制御手法としての確立を目指す。また,最大可制御部分言語などの,従来のスーパバイザ制御において重要な概念と,本研究で導入する定量的評価指標との関連性についての検討を行い,既存理論との融合と提案手法のその中での位置づけを調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
基本モデルの理論構築に重点を置き,計算機実験の規模がそれほど大きくならなかったため,追加での計算機部品等の購入を次年度に見送った。また,遠方で開催された研究会等への参加が少なかったため,旅費が抑えられた。 前年度から引き続き,計算機実験用のソフトウェア(MATLAB)の保守費を計上する。加えて,広い状態空間を持つ問題を対象とした計算機実験を高速に実行するために,追加の計算機部品等を購入する。制御工学や機械学習関連の図書を購入する。また,旅費については,平成25年度の研究成果を受け,研究の進展に伴い,研究発表等で必要となる旅費も前年度より増加する見込みである。
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