研究課題/領域番号 |
25870948
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
酒井 美和 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 助教 (70454436)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | als / 神経難病 / 家族 |
研究実績の概要 |
難病に関する最新情報を収集するために、内閣府の障害者政策委員会を傍聴した。その結果、障害者でもある難病患者の政策に関して、どのような審議が具体的になされているのか知ることができた。 また、神経難病患者であるALS患者のAさん(女性、60代)および配偶者(男性、60代)に対して、ヒアリングを行った。その結果、在宅生活態勢を構築する際の困難として、次の3点が示された。 第一が早期受診および確定診断の困難が挙げられる。症状が発症してから、ALSの確定診断がなされるまでに約1年が経過していた。その間、異なる診断名により手術を受けることにより、更に身体状況が重度化したり、通院および投薬により、高額な医療費も要した。そのため、ALSによる症状が進行するなか、適切な対応をすることができず、在宅生活への対応も遅れる結果となった。 第二に、支援制度に関する適切な情報の取得の困難が挙げられる。ALSは身体症状を伴う難病であり、在宅生活のために難病対策としての支援だけでなく、障害者サービスも利用できる。また、40歳以上の場合、介護保険サービスも利用できる。しかし、複数の制度を理解し利用することは容易ではない。いつ、どこに相談すれば良いのか分かりづらく、自ら何度も市役所や病院、保健所などを訪問しながら、少しずつ情報を得て、サービス利用へと結びついていた。 第三に、コミュニケーションの困難が挙げられる。症状が進行することにより、徐々に筋力が衰え、コミュニケーション方法が限られてくる。Aさんの場合にも、手足の筋力が徐々に衰え、人工呼吸器も装着し、目線による文字盤の読み取りによるコミュニケーション方法へと変化した。それにより、コミュニケーションに時間を要するとともに、コミュニケーションできる相手も限られるようになった。そのため、在宅生活に関して本人と話し合うことに困難が伴った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
神経難病患者に関する最新情報の収集はできたが、それを基にした政策の動向分析にまでは及ばなかった。また、ALS患者の方にヒアリング行い、内容を考察したが、論文執筆にまでは及ばなかった。
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今後の研究の推進方策 |
ALS患者および家族にヒアリング調査を継続的に実施し、きちんと分析を行いたい。また、分析後には論文を執筆し、学会雑誌等に投稿を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
ALS患者の方および家族の方に対するヒアリングが計画通りに、実施できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、ALS患者および家族の方に対しヒアリングを実施し、旅費や謝金などの経費を計上していく予定。
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