研究実績の概要 |
1. 骨髄間質細胞 (BMSC )の共培養による脈絡叢上皮細胞 (CPEC) のmRNA発現量の変化。有意差はないものの、以下の分子に発現量の増加傾向を見た。即ち、神経栄養因子(NGF), 血管内皮細胞増殖因子(VEGF), 肝細胞増殖因子(HGF), インシュリン様増殖因子I (IGF-I), および線維細胞増殖因子II (FGF-2)。 次に、脊髄損傷時の炎症モデルとして、lipopolysaccharide (LPS) を添加した系でBMSCとの共培養の影響を調べた。その結果、共培養でIGF-I, FGF-2に有意な増加が見られ、逆にIGF-IIは減少した。神経再生に関連するNGF, VEGF, HGFについて、共培養でNGFでは増加傾向、HGFでは減少傾向が見られた。これらについて、定量性の高いreal-time PCRで発現変化を解析した。LPS存在下でのCPEC 単培養とBMSCとの共培養とを比較すると、NGFとHGFのmRNAは単培養で増加し、NGFは共培養でさらに増加した。VEGFの発現量は、単培養では変化はなかったが、共培養で増加した。即ち、LPS存在下で、NGF、HGFの発現量は増加し、VEGFは横ばいだが、共培養によってNGFとVEGFはさらに増加した。 2. 共培養による脈絡叢上皮細胞のタンパク質の発現量の変化。LPS刺激の系において、BMSCとの共培養でmRNAの増加が見られたNGFとVEGFについて調べた。NGFの発現量は、LPS刺激の下で 、CPEC単独培養で増加し、BMSCとの共培養ではさらに顕著な増加が見られ、単培養の和よりも明らかに高値で、共培養による影響が明らかであった。VEGFはLPS刺激の下で、単培養で発現増加を示し、共培養での増加はBMSCの発現量との和のレベルであった。従って、共培養による増加はなかったと考えられる。
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