研究課題/領域番号 |
25870952
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研究機関 | 森ノ宮医療大学 |
研究代表者 |
吉川 有葵 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 講師 (20614085)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 腎移植 / 臓器移植 / 妊娠 / 出産 / 看護 / 育児 / レシピエント |
研究実績の概要 |
移植医療の著しい進歩に相まって、臓器移植患者(レシピエント)の妊娠・出産も増加している。結婚、妊娠、出産、育児は女性のライフサイクルにとって重要な意義があり、臓器移植を受けた女性にとってもそれは同様であると考える。妊娠すると腎血流量増加に伴う血管容積の増加や尿細管容量の増加による腎サイズの増大や糸球体濾過量の増加等が見られ、腎臓に負荷をもたらす。そのため、腎移植後の妊娠は産科的合併症の高血圧が約半数に見られ、帝王切開、早産のリスクが高い現状がある。また、周産期における血清クレアチニン値の不良は出産後の腎廃絶に関連するという報告もある。さらに出産後、レシピエントは子ども中心の生活スタイルへの変化によって自身の健康管理が不十分となり、育児疲労による易感染状態で入退院を繰り返しており、家族の支えが必要不可欠な現状が見受けられ、腎機能を維持しながらいつまで子育てできるのか不安と恐怖を抱いている。一方で、出産後のレシピエントの母親役割の認識は自身の健康管理意識を高めることにつながっている。 以上より、腎移植レシピエントの妊娠・出産は、身体的・心理的・社会的に及ぼす影響は大きく、レシピエントが健康を自己管理し、より安全に安心して妊娠・出産・育児ができるよう看護支援体制を整える必要がある。 本研究では、腎移植レシピエントの妊娠・出産・育児を取り巻く要因とQOLとの関連を明らかにし、腎移植レシピエントの妊娠・出産・育児に対する看護支援モデルを開発する。 平成25年度は文献検討を行い、腎移植レシピエントにおけるQOLについて文献レビューとしてまとめ、その結果および申請者らの先行研究の結果より、従属変数をQOLとした腎移植レシピエントの妊娠・出産・育児を取り巻く要因の因果関係モデルを構築した。 平成26年度は、因果関係モデルをもとに調査票を作成し、倫理委員会の審査を受け、調査票配送の準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は文献検討を行い、腎移植レシピエントにおけるQOLについて文献レビューとしてまとめ、その結果および申請者らの先行研究の結果より、従属変数をQOLとした腎移植レシピエントの妊娠・出産・育児を取り巻く要因の因果関係モデルを構築した。 平成26年度は、因果関係モデルをもとに調査票を作成し、倫理委員会の審査を受け、調査票配送の準備を整えた。 当初は、平成26年度は調査票の配布までを行う予定であったが、申請者が平成27年4月に勤務先を移転することとなり、平成27年1月末~3月の間、所属大学から研究費の使用を中断するように求められたため、調査票の配送が行えず、調査票の配布までは至らなかった。 調査票の配布には至っていないが、配送の準備は整えているため、おおむね順調に研究は進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方策としては、日本の腎移植施設に研究依頼書を送付し、研究協力を打診する。協力を得られた場合には、その施設における腎移植後に妊娠・出産を経験したレシピエントの人数分の調査票を施設に送付する。研究協力施設より対象者に質問紙を配布してもらい、調査を実施する。調査票は郵送法で回収する。研究への同意は、本研究の趣旨および倫理的配慮を調査票に記載し、調査票の回答を得られたことで同意を得たこととする。 質問紙で得られた回答を統計分析ソフトに入力し、因果関係モデルの検証を行う。対象者の属性等は記述統計量を算出する。因果関係モデルは、構成要素間の関係、寄与率を明らかにするために共分散構造分析を行い、モデルのデータへの適合度を検証し、モデルの有用性を確認する。これらの因果関係モデルの結果および、医学的見地・看護学的見地を踏まえ、腎移植後に挙児を希望する患者への看護支援モデルを開発する。開発した看護支援モデルについて、文献を用いながら考察していき、研究成果をまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成25年度は文献検討を行い、腎移植レシピエントにおけるQOLについて文献レビューとしてまとめ、その結果および申請者らの先行研究の結果より、従属変数をQOLとした腎移植レシピエントの妊娠・出産・育児を取り巻く要因の因果関係モデルを構築した。 平成26年度は、因果関係モデルをもとに調査票を作成し、倫理委員会の審査を受け、調査票配送の準備を整えた。 当初は、平成26年度は調査票の配布までを行う予定であったが、申請者が平成27年4月に勤務先を移転することとなり、平成27年1月末~3月の間、所属大学から研究費の使用を中断するように求められたため、調査票の配送が行えず、調査票の配布までは至らなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
申請者が移転後、調査票の配送を行っていく。 調査票の郵送、研究の説明が生じた場合の旅費等に費用を使用する予定である。
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