研究課題/領域番号 |
25870953
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研究機関 | 大阪保健医療大学 |
研究代表者 |
清田 直恵 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 講師 (90559189)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 適応的抑制 / 姿勢制御 / 床傾斜 / 筋活動 / 初期立位位置 / CNV |
研究実績の概要 |
前年度において、一過性水平後方床移動後の床傾斜刺激の反復に伴う下腿三頭筋活動の適応的抑制の程度に個人差があり、外乱前の姿勢準備活動によって異なる可能性が推察された。そこで本年度は、前傾姿勢にて外乱を負荷し、外乱後の筋活動の変化を検討した。若年成人12名に対し、聴覚予告信号(S1)の2秒後に下腿三頭筋が伸張される2つの一過性床外乱刺激(S2):1)水平後方床移動、2)前方が上昇する床傾斜、のいずれかを負荷した。S2は、後方床移動刺激が少なくとも3試行繰り返された後、予測できないタイミングで床傾斜刺激に切り替わり、5試行繰り返された。外乱前の初期立位位置を以下のように規定した:1)安静立位位置(QSP)、2)QSP+10%、3)QSP+20%。いずれの初期立位位置条件においても、床傾斜直後の下腿三頭筋の活動は、第2試行以降で急激に減少した。体幹および大腿筋では、傾斜直後というよりはそれ以降において、筋活動が小さくなった。初期立位が前傾姿勢である場合に、体幹・大腿筋の筋活動の減少が大きくなる傾向が認められた。前傾保持では傾斜による下腿三頭筋伸張刺激が強く、抑制の必要性が増した可能性が考えられる。 加えて、前頭葉の準備状態と姿勢の安定性の変化を検討した。初期立位位置はQSPとした。脳波と前後方向の足圧中心動揺(CoPap)が試行毎に加算され、随伴陰性変動(CNV)の後期成分によって前頭葉の準備状態を評価した。CNVピークは、第2試行において、他の試行よりも有意に小さかった。CoPapは、第1試行では最後傾位置付近(足長の約20%)まで偏倚したが、第2試行で偏倚は小さくなり(約30%)、プラトーに達した。姿勢の安定性は第2試行で急激に適応したが、その時点では新たな外乱に対する不安が大きく、外乱に対して十分に予測的注意を向けられるようになったのは第3試行以降であったと推察される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H25年度の結果から新たな検討課題が出てきたため、H26年度は高齢者を対象とせず、引き続き若年者を対象に検討を行ったため、当初の計画からはやや遅れている。しかしながらその結果、新たな発見に至り、今後の高齢者を対象とした検討をする上で有意義な結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは事象関連脳電位を用いて、適応的抑制に向けた前頭葉の準備活動を検討してきたが、経頭蓋磁気刺激や近赤外線分光法を用いることにより、他の部位や時相における中枢神経系の活動状態も検討する必要がある。高齢者を対象とするにあたっては、実験デザインを少し簡略化する必要があると考えられる。その方法について検討するために、予備実験を精力的に実施するとともに、H25・26年度に測定したデータについて、引き続き解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の費用が予定よりもやや少なくて済んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
旅費および被験者謝金に多くの費用がかかることが予想されるため、旅費および被験者謝金を多く計上する。
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