研究課題/領域番号 |
25870957
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
土橋 宏規 立命館大学, 理工学部, 助教 (50634490)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ロボットハンド / 組立作業 / 機構 / 把持戦略 / 評価指標 |
研究概要 |
本研究では,組立作業の対象となる工業製品を構成する複数の部品の形状と,作業台上に置かれた個々の部品について想定される初期位置・姿勢の誤差の範囲から,そのような誤差をアライメント(整列)操作により吸収し,最終的に組み付けに必要な精度での把持を確実に達成することができるような,汎用的なロボットハンド(以下,汎用ハンド)の最適な機構と把持戦略を導出するためのアルゴリズムを構築することを目的としている. 平成25年度には,汎用ハンドの機構と把持戦略の良し悪しを総合的に評価するための方法を提案し,この評価方法に基づいて汎用ハンドの機構と把持戦略の最適性の定義づけを行った.提案した評価方法では,まず個々の部品に対してある汎用ハンドの機構と把持戦略を想定し,1.組み付け作業時などに把持している部品に加わる外力に対する把持形態のロバスト性,2.部品の初期位置・姿勢誤差に対するアライメントのロバスト性,3.汎用ハンド機構の小ささ,の三つの評価指標の値を求める.続いて,それぞれの評価値の積を個々の部品に対する汎用ハンドの機構と把持戦略の評価値とする.そして,最終的に全ての部品についてこれらの評価値の積の相乗平均をとることで,全ての部品に対する汎用ハンドの機構と把持戦略の総合的な評価値を求める.本研究では,汎用ハンドの最適性をこの評価値が最大となることと定義した. また,同年度には,この定義に基づいて最適な汎用ハンドの機構と把持戦略を導出することができるかどうかを,簡単な例題を用いて示した.例題では,二次元平面内での円形部品と長方形部品の二種類の部品を対象に,計四通りの異なる汎用ハンドの機構と把持戦略の候補の組み合わせを想定し,提案手法を用いてその中から最適な機構と把持戦略が導出できることを,シミュレーションによって確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の計画は以前の所属機関に在籍している時に行ったものであり,その内容ならびにエフォートは当時の所属機関における業務の負荷を考慮して決定したものであった.研究計画調書を提出した時点では当時の所属機関からの転出の予定はなかったが,その後現在の所属機関に転入することが決定した.研究課題に着手したのは現在の所属機関への転入後であるが,他の業務とのバランスから当初予定していたエフォートを実現することは困難であったため,着手前にエフォートを低減化することとなった.こうした経緯により,当初の予定よりも達成度が「やや遅れている」状況にある.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究実施計画では,研究代表者らが予備的な研究成果で構築したアルゴリズムを基に汎用ハンドの機構と把持戦略を設計・計画するアルゴリズムを構築することを想定していたが,研究を進める過程で,必ずしも当該アルゴリズムに固執する必要はなく,研究目的を達成するものであれば異なるアルゴリズムに基づくもの,或いは全く新規のアルゴリズムであっても問題ないという考えに至った.そこで,この点については当初の研究計画を緩和し,構築するアルゴリズムに自由度を持たせることとする. 上記のように研究計画をやや変更した上で,今年度は当初の予定通り,アルゴリズムのコンピュータへの実装と,実機実験による汎用ハンドの機構と把持戦略の最適性の検証を行うこととする.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初購入を予定していた一部の実験機器の購入費,ならびに学会発表のための出張旅費を別の研究予算で執行したため,次年度使用額が生じた. 研究計画調書の提出時に想定していた一部の実験機器(垂直多関節型ロボット)は非常に高額なものであるため,次年度使用額は,次年度分として請求した助成金と合わせて当該実験機器の購入費に充当する.
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