研究課題/領域番号 |
25870968
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 神戸夙川学院大学 |
研究代表者 |
伊多波 宗周 神戸夙川学院大学, 観光学部, 講師 (80608688)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 哲学 / フランス哲学 / 社会哲学 / 政治哲学 / 社会思想史 / 19世紀 / プルードン / 力 |
研究概要 |
当該年度の成果は、2点である。一つは、「プルードンの社会主義と自発性の問題ーー新自由主義以降にプルードンを読み直す意義」と題した学会発表、もう一つは、「プルードンの未発表草稿「力の法権利」(Droit de la Force)の解読」と題した研究ノート形式の論文である。 研究実施計画に記載した内容は以下の通りである。(1)プルードン思想とフランス・スピリチュアリスムとの関係の哲学的・思想史的解明、(2)タルドやギュルヴィッチの社会思想とプルードン思想の類縁性の哲学的解明、(3)「疎外論者プルードン」レッテルと反疎外論的「68 年の思想」をめぐる思想史的解明、(a)プルードンのノート・草稿の解読・公開、(b)プルードンについての古典的研究書の翻訳。当該年度においては、全ての作業を進め、(a)についての成果物を発表すると計画していた。 まず、上記学会発表において、主に(3)の作業の中間的成果を発表した。プルードンを疎外論者と捉える見方は、プルードン思想を自発的(自生的)な社会秩序を称揚する思想と捉えることと一体である。しかるに、当該発表において、プルードン思想が単純な自発性称揚の思想とは捉えられないこと、むしろ、自発性を「整流する」ことの方に力点が置かれていることを示した。副題にもある通り、第二次世界大戦後に展開された新自由主義の思想との距離を示すことで、本研究課題で進めている研究の社会思想史的意義を強調することができたと考える。 次に、研究ノート形式の論文において、研究実施計画で示した通り、(a)の成果を公開した。これは、2月から3月にかけて行なった、ブザンソン市立図書館および、パリのフランス国立図書館・ソルボンヌ図書館における解読作業の成果である。後期プルードンの主著である『戦争と平和』の直前に書かれた草稿において、力と法権利の関係がどのような道筋で思考されているかを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に示した通り、当該年度において予定していた成果物の公開を、計画通りに為すことができた。当初より、次年度以降に成果物を公開するとしている、計画実施計画上の、(1)プルードン思想とフランス・スピリチュアリスムとの関係の哲学的・思想史的解明、(2)タルドやギュルヴィッチの社会思想とプルードン思想の類縁性の哲学的解明、(3)「疎外論者プルードン」レッテルと反疎外論的「68 年の思想」をめぐる思想史的解明、(b)プルードンについての古典的研究書の翻訳について、以下に進捗状況を述べる。 (1)については、継続的に文献読解を進めており、次年度秋季において学会発表の形で中間発表を行なう目処が立っている。 (2)については、当該年度に進めるとした一次文献および重要先行研究の読解が、やや遅れている。とはいえ、(b)で示す通り、成果の一部は次年度末頃に公開できるものと考えている。 (3)については、「研究実績の概要」に示した通り、中間的成果を発表済みである。また、次年度夏季に学会誌に更なる成果を投稿するべく、論文執筆中である。 (b)については、ギュルヴィッチの『プルードン』の下訳作業をおおむね終え、現在は公開に向けての清書段階に入っている。(2)と関連し、当該著作の訳註および解説として、ギュルヴィッチの社会思想・社会学についての研究成果を公開するべく、作業を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、おおむね当初計画通りに研究を遂行していることからして、今後も計画通りに研究を推進する方針である。計画実施計画上の、(1)プルードン思想とフランス・スピリチュアリスムとの関係の哲学的・思想史的解明、(2)タルドやギュルヴィッチの社会思想とプルードン思想の類縁性の哲学的解明、(3)「疎外論者プルードン」レッテルと反疎外論的「68 年の思想」をめぐる思想史的解明、(a)プルードンのノート・草稿の解読・公開、(b)プルードンについての古典的研究書の翻訳のうち、次年度において成果を得るとした、(1)(2)(b)に特に集中し、研究を推進する。 (1)については、「現在までの達成度」で述べた学会発表のほか、次年度冬季にフランス語で執筆することを予定している論文にも、更なる研究成果を反映させる予定である。 (2)については、現在、最も研究推進が遅れているタルドに関する研究の速度を上げ、次年度末には一定の目処をつけようと考えている。また、(b)にも関連するが、ギュルヴィッチに関する研究は、翻訳書の訳註および解説という形で、一つの成果としたい。 (b)については、ギュルヴィッチの『プルードン』の翻訳を完成させ、次年度末には公開に向けての具体的段階に入る。 ほか、「現在までの達成度」で述べた通り、(3)についての第二の成果物を準備中であり、予定通り学会誌に投稿したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
おおむね当初計画通りに使用している。生じた次年度使用額は258円と極めて少額で、端数と捉えるべきである。 文献購入費および旅費を中心に、当初計画通りに使用する計画である。ほか、主たる支出としては、12月に学会誌へ投稿予定のフランス語論文に関するネイティヴチェックの謝金を想定しており、これも当初計画通りの使用である。 なお、当初、次年度2~3月を予定していたフランスへの資料収集旅行は、半年遅らせ、2015年度夏季に変更する可能性がある。
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