家族関係が多様化し、法律上の相続人に被相続人の財産を承継させることの正当性が疑われるケースが増えている。逆に、法律上の相続人ではなくても被相続人に対する介護給付などにより被相続人の財産を維持・増加させたために被相続人の財産を承継させるべきとみられるケースも増加している。本研究では、相続法の規定を現代の多様な家族に対応させる法的可能性を追求した。その結果、第1に、遺留分についての民法1030条の縮小解釈、第2に、相続人廃除の制度(民法892条、893条)の意義の変化、第3に、内縁配偶者の相続における法的地位の保護について一定の検討結果を示した。
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