研究課題/領域番号 |
25870985
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
安元 加奈未 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (70412393)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | リーシュマニア症 / 熱帯植物 / ミャンマー / 構造決定 / 抗リーシュマニア活性 / 天然物化学 |
研究概要 |
熱帯に多いリーシュマニア症は、WHOにより制圧すべき病気の1つとされているが特効薬は未だ存在しない。本研究では、熱帯域の植物からさらなる抗リーシュマニア活性物質を探索するとともに、これまでに得られている化合物の薬理活性機構の解明と新たなスクリーニング系開発を目的として1) 熱帯産植物エキスからの抗リーシュマニア活性化合物の探索、 2)原虫ミトコンドリア系呼吸鎖酵素群に対する阻害活性試験の検討、3)得られた活性化合物の2)の原虫呼吸鎖阻害試験との関係評価 の研究を行うものである。 平成25年度は、まず熱帯産植物エキスから抗リーシュマニア活性化合物の単離構造決定を行った。申請者が保有する熱帯産植物エキスから、昆虫寄生型原虫の改良MTT(WST-1)法により、活性の認められるものを検討した。この結果から、ミャンマー産植物葉部メタノールエキスを選出し、このエキスに対してカラムクロマトグラフィーを用いた分離精製後、NMR、MS等の各種機器分析を行い、新規ジテルペン2種を含む15種の化合物を得た。これらの Leishmania major に対する抗リーシュマニア活性を評価し、7種の化合物に活性が見られた。また宿主細胞モデルとして、RAW264.7細胞に対する影響をXTT法により検討した。 次に、原虫ミトコンドリア系呼吸鎖酵素群に対する阻害活性の検討するため、第一段階として、ルシフェラーゼ発光を用いた原虫内総ATPの定量試験を検討することとした。これは,リーシュマニア原虫は、嫌気的ミトコンドリア呼吸鎖系によりATPを獲得し、生命を維持していることに因る。まず適切な条件設定を行うべく原虫数と化学発光強度を検討した。 今後、これまで単離した活性化合物についてATP総量を検討するものとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
活性を示した植物エキスの分画は、15単離化合物中、活性を示したものが7つと順調に進んでおり、現在も単離構造決定をさらに進めているところである。得られた化合物について,Leishmania major 原虫、および宿主モデル細胞RAW264.7に関して増殖抑制を検討し,多角的に活性を評価することができた。また、L. major 原虫内総ATP量を定量するための条件設定を行い、評価系を立ち上げた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、熱帯産植物エキスから、昆虫寄生型原虫の改良MTTアッセイおよびほ乳類感染型原虫に対する増殖抑制試験により、活性の認められるものを選定し、活性化合物の単離・構造決定を行う。さらに宿主細胞への影響を検討するため RAW264.7についてXTT試験およびLDH測定を行い、検定サンプルの細胞傷害性を調べる。 また、既報の低細胞傷害性の活性キノン類化合物を用いてルシフェラーゼ発光を用いた原虫内総ATPの定量試験およびミトコンドリア複合体IIの活性阻害の検討を行う。 また、単離・構造決定された化合物について、立ち上げた呼吸鎖関連活性試験を行い、活性を評価し、相関性や、構造分類による活性パターンの有無を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
原虫ミトコンドリア系呼吸鎖酵素群に対する阻害活性の検討するため,ミトコンドリア複合体IIの活性阻害キット(Mitochondrial Complex II Activity Assay Kit, Merck社)を用いて実施する予定であった.しかしながら,本キットは海外輸入製品であり,しばらくの間在庫がなく,年度末に製造を再開したため,実験予定数を購入することが困難であった. 26年度に,ミトコンドリア複合体IIの活性阻害用キット(Mitochondrial Complex II Activity Assay Kit, Merck社)購入に使用する.
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