研究課題
本研究では、熱帯域の植物からさらなる抗リーシュマニア活性物質を探索するとともに、これまでに得られている化合物の薬理活性機構の解明と新たなスクリーニング系開発を目的として研究を行うものである。平成26年度は、まず一次スクリーニングにて活性の見られた植物エキスの中から、ペルー産パパイヤ科植物の樹皮メタノールエキスの分離に着手した。カラムクロマトグラフィーを用いた分離精製後、NMR、MS等の各種機器分析を行い、ピペリジンアルカロイド2種を含む5種の化合物を得た。また、25年度に引き続きミャンマー産植物から抗リーシュマニア活性化合物の単離構造決定を行い、クマツヅラ科植物エキスより新規ジテルペン2種を含む16種の化合物、ショウガ科植物よりケイヒ酸エステル類縁体3種を含む7種の化合物を得た。これらの Leishmania major に対する抗リーシュマニア活性を評価した。また宿主細胞モデルとして、RAW264.7細胞に対する影響をXTT法により検討した。また、新たに入手した17種のミャンマー産薬用植物について、メタノール及び水抽出エキスを作成し、活性を評価した。その結果、11種のエキスに活性を見出した(MIC 3.1-25 ug/mL)。次に、原虫ミトコンドリア系呼吸鎖酵素群に対する阻害活性を検討する為、ルシフェラーゼ発光による原虫内ATPの定量試験を行った。まず市販ATPキットを用いて適切な原虫数と発光強度を調整しスクリーニング系を最適化した。これにより、既報活性化合物及びエキスを作用させた原虫のATP総量を検討した。本研究により,熱帯産植物から28の化合物を単離し,抗リーシュマニア活性及び宿主モデル細胞に対する傷害性の検討を行った。また活性化合物の機能解明の足がかりとなる原虫内ATPスクリーニングを構築し,今後より薬理機能にフォーカスした化合物探索が可能になると考えられる。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
Marine Biotechnology
巻: 16(4) ページ: 465-474
10.1007/s10126-014-9566-z
Molbank
巻: 4 ページ: M836
10.3390/M836