細菌の環境適応には遺伝子発現の転写制御だけでなく転写後制御も重要である。本研究では、腸炎ビブリオの鉄制限下での環境適応に関わる遺伝子の翻訳制御機構について検討した。その結果、シデロフォア(鉄獲得に関わる三価鉄輸送キレート分子)であるenterobactinの受容体遺伝子peuAが翻訳制御を受けることを明らかにした。また、腸炎ビブリオの主要病原因子であるⅢ型分泌装置(T3SS)のmRNAが小分子RNAによる翻訳制御を受けるかについても検討した。その結果、T3SSエフェクターVP1680のシャペロンをコードするvp1682 mRNAが小分子Spot 42により翻訳制御されることを明らかにした。
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