研究課題/領域番号 |
25870989
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
藤田 尚志 九州産業大学, 国際文化学部, 講師 (80552207)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 結婚 / 恋愛 / 所有 / 誓い / 契約 / 約束 / 個人 / 家族 |
研究概要 |
本プロジェクトを遂行すべく、2013年度は二つの研究発表を行なった。 一つ目は、社会倫理研究所2013年度懇話会《恋愛と結婚のあいだ――「いき」の哲学、所有と誓いの脱構築》(2013年6月22日(土)午後14:00-17:30、南山大学・名古屋キャンパスR棟3階R32教室)における発表である。「結婚における〈所有〉と〈誓い〉の脱構築――現代フランス哲学の視点から」と題して行なわれた本発表では、結婚という自己と他者の関係を、所有と誓いという二つの観点から論じようと試みた。たとえば、カントが考えたように、結婚とは性的な契約関係であるとするならば、結局のところ、結婚が求めるのは、互いを占有するということだろう。しかし、他者を所有しようとする願望とはいったい何なのか。カントやヘーゲルを参照しつつも、所有概念を再検討し、個として生きる者がもつ「欲望」の有り様を問い直さねばならない。さらに、個と欲望の関係を明らかにした地点から、再度、他者と共に生きるとはどういうことから問うことで、結婚における「誓い」の内実を見極めようと試みた。 二つ目は、ワークショップ「”正しい”結婚――西洋近代から考える愛・性・家族の極限」(2014年3月9日(日)10:00-18:00、福岡大学A棟A811教室)における発表である。西洋近代の結婚観は、ヘーゲルによって完成された公転軌道をたどりつつ、絶えず遠心力によってそこから解き放たれようとしている。シャルル・フーリエは、キェルケゴールとともに、一九世紀前半のそのようなモーメントを代表している。「来たるべき結婚――フーリエを導入する」と題して行われた本発表では、キリスト教的結婚観から出発して近代的結婚観が完成するまでを簡潔に振り返り、フーリエ思想を紹介しつつ、そこに胚胎する新たな愛・性・家族のかたちを描き出そうと試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近代の結婚観を完成したカント、ヘーゲルから現代の結婚観までの変遷を大まかにたどる発表を行ない、19世紀の愛・性・家族観の極限を示すフーリエについても研究発表を行なうことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」欄には字数の関係で記すことができなかったが、個人としての研究発表だけでなく、隔月で福岡在住の若手哲学者・学生たちとともに勉強会を行なっており、今後も継続・発展させていきたいと考えている。その中からいくつか書籍化の話も出ており、これを具体化させていければと考えている。
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