研究課題
本研究の研究対象である核内在性炎症メディエータであるHMGB1は、核移行シグナル(NLS)のリン酸化によりマクロファージなどの自然免疫細胞からの分泌が調節されると考えられている。これまでにこのリン酸化にはGSK-3が関与すると考えていたが、実際にはGSK-3以外のキナーゼによるリン酸化が分泌に関わることが示唆される結果が得られた。最終年度である平成27年度は、HMGB1と相互作用を示すキナーゼまたはホスファターゼを探索し、リン酸化を介してHMGB1の分泌に直接関与する因子の解明を目指した。まず、LPS刺激したマクロファージ細胞株RAW264.7ライセート中、HMGB1と直接的に結合するキナーゼあるいはホスファターゼの探索を計画したが、HMGB1と結合するキナーゼ、ホスファターゼの同定には至らなかった。そこで、前年度の検討結果やこれまでの報告を踏まえ、HMGB1の分泌に密接にかかわる可能性が高いプロテインキナーゼC(PKC)の関与について、より詳細な検討を行った。蛍光タンパク質を融合させたHMGB1中のNLS内部の、PKCによるリン酸化を受けると考えられたセリン残基である、Ser46およびSer181をアラニンに置換した変異体を細胞内で発現させたうえで、PKCを活性化させたところ、HMGB1の核から細胞質への移行は優位に抑制された。この結果はPKCがHMGB1の分泌を亢進するという従来の報告を支持した。
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