クラミジアは性感染症,眼病および肺炎の原因となる細胞内寄生菌である.本研究では,動物細胞内のカルシウム依存性プロテアーゼであるカルパインの阻害剤が,クラミジアの増殖を強力に阻害することを見出した.これらのクラミジアの増殖を抑制するカルパイン阻害剤には,疎水性アミノ酸で構成される共通した構造が存在することを明らかにした.また,カルパイン阻害剤はシグナル伝達のひとつであるNF-κB経路を遮断することで,クラミジア感染時に誘発されるサイトカイン産生を著しく阻害することを明らかにした.以上の結果はカルパイン阻害剤の共通構造からクラミジア感染症の新しい治療薬を開発する足がかりとなることが期待される.
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