本研究では適切な条件によるCNTのアレルギー増悪効果を検討した。はじめに毒性が既知の金属酸化物ナノ粒子により評価を行った。これらのナノ粒子をマウスの気管内に投与後、連続してOVAを吸入させたところ、一部で血中のOVA特異的IgEの上昇がみられた。次に、CNTにより同様の評価を行った。その結果、CNTにおいても一部の試料で血中のOVA特異的IgEの上昇がみられた。この時、肺組織内で酸化ストレス関連、炎症関連、アレルギー誘発関連遺伝子の発現上昇が認められた。酸化ストレス関連、炎症関連遺伝子は培養細胞でも発現が上昇した。これらの遺伝子発現評価による、CNTのアレルギー増悪効果の予見可能性が示された。
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