研究課題/領域番号 |
25871009
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 純真学園大学 |
研究代表者 |
山中 真 純真学園大学, 保健医療学部, 助教 (30507504)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 基礎看護 / 転倒外傷予防 / 医療安全対策 |
研究概要 |
本研究は、転倒による外傷リスクを数値として具体的に示す事で患者などの対象に生じる転倒外傷の評価を目的としており、初年度はより人に近い構造のモデル人形を用いた転倒外傷リスクを評価する事を目的にモデルダミーの作成と作成ダミーによる転倒実験を行なった。 作成されたモデルダミーはこれまでの先行研究にて用いていた衝突モデルダミーと比べ持ち運びが可能で安価であり、人の無防備時での転倒姿勢や転倒による頭部外傷評価に特化した評価を目的として、市販の人骨標本を基に米国のPlagenhoefらが掲載しているBoby segment dataを参考に身体各部位の重量に合わせてモデルを作成し、頭蓋内部に脳実質と同じ材質特性を持つ素材を充填することで、これまでのモデルダミーと異なり頭蓋内部における衝突加速度の計測が可能であり、このデータを基に転倒による外傷リスクの分析を行なった。 初年度は、本格的な人の実験に先立ちモデルダミーを用いた実験を通じて、転倒時の転倒外傷リスクの再評価と人を対象とした転倒実験の実施にむけた安全性の確保を目的に予防対策の見直しも含めて実験を行なった。 モデルダミーを用いた実験では、病棟施設に普遍的な環境化での転倒実験を行ない、その結果、転倒による頭部外傷は転倒による床面への直接的な接触による衝撃力だけでなく、首を基点とした角加速度によっても危険性が高くなることを明らかとした。このことから、転倒外傷予防対策として装着型予防具の使用を推奨する必要性を提示した。また、転倒時に衝撃を受けやすい頭部の部位を明らかとした。これらの成果については、平成25年度の日本職業災害医学会会誌にて論文掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しいモデルダミーの作成に関しては、日本人の身体寸法データベースの使用やPlagenhoef らのBody segment dataを用いることで市販されている人骨標本に錘をつけることで安価に作成する事が出来た。また、先行研究で用いた衝突モデルダミーの実験結果と相互参照することでモデルダミーの信頼性の担保を可能とした。加えて先行研究の経験と解析データや研究指導者(純真学園大学・中野正博教授)の意見とアドバイスが大いに役立った。 モデルダミー実験を通じて転倒時の衝突部位や転倒姿勢などが明らかとなったことで、人を対象とした実験に先立って安全性確保に必要な対策を講ずることが可能となった。 これらの結果などから、人を用いた実験での倫理審査(産業医科大学H24-127)承認が認められ良好な結果を得る事が出来た。 相対的な研究の達成度は、個々に過不足はあるものの順調に推移しており、本助成金は大いに役立った
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今後の研究の推進方策 |
人における転倒時の姿勢変化と転倒時における腰を中心とした2軸での角加速度の計測を行なう。 その結果より、先行研究での外傷評価モデルに当てはめ転倒による身体外傷評価を行なう。 身体外傷評価にあたっては、データの分析と解釈が重要であり、この点については研究指導者(純真学園大学 中野正博教授 看護協会 川本利恵子理事 産業医科大学 行正 徹准教授)の意見を仰ぎながら行なっていく。 必要に応じて、より詳細な転倒衝撃による頭蓋内部の衝撃加速度の計測をモデルを用いて行ない、転倒時における脳内部の衝撃伝播について解析を行なう。 今年度は、日本看護研究学会や日本医工学会など学会に積極的に参加し、情報収集や研究発表を行なう予定である。これ以外にも論文掲載なども行なう予定である。
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