研究課題/領域番号 |
25871017
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 山形県立米沢女子短期大学 |
研究代表者 |
加藤 守匡 山形県立米沢女子短期大学, その他部局等, 准教授 (20399330)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 呼気水素濃度 / 最大持久運動 / ラクツロース |
研究概要 |
本研究は、呼気水素濃度から腸内細菌繁殖状態を評価し運動能力との関連を検討した。被験者は健常成人女性10名。実験1では、適切な試験食検討のために呼気中水素濃度を上昇させやすい小麦粉とその上昇が低いとされる米粉を用いて試験食作成について検討し、各試験食摂取後の呼気中水素濃度動態を評価した。実験2では、実験1で明らかとなった呼気中水素濃度最大値の時間に最大持久運動を行い呼気中水素濃度と運動能力との関連を検討した。実験1の結果、試験食は各被験者の体重当たり0.5gのラクツロースに50gの小麦粉または酒米粉を添加しそこに同量の水を加えて10分間蒸して作成することとした。各試験食摂取後の呼気中水素濃度は、試験食摂取後3時間までは10分毎に、3時間以降から8時間目までは20分毎に測定した。その結果、各試験食の呼気中水素濃度のピーク時間は小麦粉で330.0±68.9分、米粉で352.4±54.7分であった。さらにpre値に対する増加率は小麦粉で12.06±7.19、米粉で8.03±6.24であった。実験2では各被験者の呼気中水素濃度が最大になる時点で、各試験食摂取後に20mシャトルランテストを行った。走行距離は、小麦粉摂取後が808±347.8m、米粉摂取後が776.0±350.7mであり両群に差異は認められなかった。また、オールアウト時の心拍数、主観的運動強度にも両群に差異は認められなかった。 本研究では摂取物の差異による呼気水素発生濃度の違いを確認し、食後の呼気水素濃度の違いが運動能力に影響すると推測しシャトルランテストを実施した。しかし、運動能力に差異は認められなかった。食事摂取が運動能力に与える影響は、呼気中水素濃度のピーク時間に到ってからは低いと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は試験食を安定して作成そして被験者に提供できるようになったために、試験食により異なる呼気水素濃度の変化を追うことができた。そして、8時間にわたる測定から呼気水素濃度の増加開始時点やピーク時間、そしてそれらの変化量も明らかとなった。呼気水素濃度の違いが運動能力(特に持久運動)に影響すると推察し、呼気水素濃度最大値の時間に最大持久運動を行ったものの、濃度による差異は認められなかった。今後は運動のタイミングも含めて検討が必要と思われた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究計画書に基づいて糞便サンプルを用いてバクテロイデス属、ラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属の構成の構成比を検討する。また、腸内細菌に影響を与える因子として想定される栄養摂取状況や心身のストレス状態なども踏まえて、運動能力との関連について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
想定していた材料(ラクツロースやキャリブレーションガス)の測定毎の分量を軽減することができたため。 実験時の消耗品(電極、固定用テープなど)に用いる。
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