研究課題/領域番号 |
25871021
|
研究機関 | 新渡戸文化短期大学 |
研究代表者 |
尾崎 博美 新渡戸文化短期大学, その他部局等, 准教授 (10528590)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 創造性 / 学校知 / 生活知 / 環境に埋め込まれた知 / 教育エージェント / アフタースクール / 学校外教育リソース / 学校-家庭-地域の連環 |
研究実績の概要 |
2014年度は、国内・国外でのフィールドワークを実施すると共に、当該研究課題に関する理論分析の成果を教育哲学会、及び学術雑誌において発表した。国内の調査は、新渡戸文化短期大学におけるアフタースクールの経緯・特徴を調査し、またそこに短期大学の学生が教育者として参加することの意義について基本的枠組みを概観した。加えて、学校外リソースとして、東京都台東区(子ども図書館)新宿区(日本点字図書館)、板橋区(いたばしボローニャこども絵本館)山梨県笛吹市(山梨県立博物館)において訪問調査を実施した。 また、国外の調査として、2014年3月にイタリアボローニャ市(アンテロス美術館)、アンコーナ市(オメロ美術館)、ローマ市(全国盲人協会)等への訪問調査を実施し、特に生活環境や身体感覚を通して、数・空間・動きを「概念化」する試みへの知見を得た。 成果発表は、2014年9月に視覚や聴覚を通した情報の「構想」(conceptions)に基づく教える-学ぶ営みを読み解く視座としてS.ランガーの理論分析を発表した。またJ.R.マーティンの「教育エージェント」論の精緻化の一工程として、「文化の伝達」における「教育エージェント」の機能を示した論文を新渡戸文化短期大学学術雑誌に掲載した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目にあたる2014年度は、フィールドワークの量を増やし、「学校外教育リソース」のサンプル数と分析の質を高めるとともに、分析視点となる「教育エージェント」論の精緻化を計画し、当初の計画通り、期待できる成果を納めることができた。また、「生活知」や「環境に埋め込まれた知」を探求する中で、環境と身体感覚とのつながり、身体感覚と概念化との結合可能性といった新たな視点を構築することが出来た。特に、「教育エージェント」の提供する教える-学ぶ営みを分析する視点としてランガーの「シンボル」論の知見を得たことは大きな収穫であった。さらに、2年連続で国際調査を実施することが出来、国際比較文責のための基盤を形成することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2015年度は、これまでのフィールドワーク、文献調査で得たデータを分析し、1)創造的な「知」のモデル形成、2)創造的な「知」の育成を可能にする環境及び教える-学ぶ関係の諸条件、3)グローバル社会を見据えた「教育エージェント」の連環の形といった点を明示することを目指す。それらの成果について、国内・国外等での発表を行うとともに、全体的な成果報告をまとめることとする。
|