研究課題/領域番号 |
25871027
|
研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
伊師 華江 仙台高等専門学校, 建築デザイン学科, 准教授 (10435406)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | テレビ映像 / L字型画面 / テロップ / 視線 |
研究実績の概要 |
テレビ映像におけるL字型画面は,テレビ番組の映像を縮小することで形成されるL字型の空き領域に比較的長時間にわたり文字テロップを一括表示する字幕呈示方法である。本研究は,L字型画面が視聴者の視線停留に与える影響を予備的に検討することを目的として,テレビ映像の途中でL字型画面に切り替わる条件(L字条件)と,画面切り替えがない条件(統制条件)で,それぞれ映像クリップを観察する時の実験参加者の眼球運動を測定した。視線計測にはTobii社の非接触型アイトラッカー(TX300)を使用した。映像クリップを5秒刻みのブロックに分け,各ブロックでヒートマップ表示による注視領域の視覚化と,注視回数および合計注視時間の分析を行った。その結果,注視領域のヒートマップにおいて,L字条件では画面切り替え直後にL字領域に視線が大きく引き付けられ,その後,映像領域とL字領域の両方に視線を移動させながら,時間経過とともに徐々に映像領域へと視線を戻す様子が確認された。また,L字領域と画面上の位置が対応する興味領域を設定し,興味領域における注視回数および合計注視時間を分析した結果,映像クリップ再生途中でL字型画面に切り替わると,L字型画面に切り替わらない映像と比べて,20秒程度の間,興味領域への注視回数が多く,また,25秒程度の間,合計注視時間が長くなる傾向が示された。このことから,L字型画面への切り替わりから20秒~25秒程度の間,映像観察中の実験参加者の視線はL字領域にも向けられ,映像領域とL字領域の両方に視線を移動させながら映像を見ることがわかった。これらの結果は,仙台高等専門学校名取キャンパス研究紀要において報告された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
不測の実験室工事・引越しが年度の途中に入ったため,一定期間,当初計画した実験を実施することができなかった。そのため,実験計画の一部の順序を変更し,H27年度に実施予定であったテレビ映像視聴中の被験者の視線計測をH26年度に繰り上げて実施することとなり,替わりにH26年度に実施予定の知覚実験が一部遅滞した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の主な課題は,前年度に引き続きテレビ映像中のテロップ呈示が映像内容の読み取りに与える影響を,視線計測実験と心理評価実験を併せて検討することである。同時に,H26年度に一部遅滞した知覚実験を速やかに遂行する。今年度は,高専機構から配置される研究支援員に刺激作成や実験者としての作業を一部担当してもらい,研究をスムーズに進めていきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
産前産後の休暇又は育児休業の取得に伴って補助事業期間延長をしたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
上記の理由によりH26年度の予定をH27年度に先送りし,産前産後の休暇又は育児休業の取得に伴う補助事業期間延長承認申請書に記載した内容に基づいて研究内容を一部変更して実施する予定である。動画編集ソフトと分析用パソコン,実験で使用するPC関連物品を早期に購入して研究を進める。また,外部発表用のノート型パソコンも購入し,年度後半には外部の研究発表を行う計画である。
|