研究課題/領域番号 |
25871029
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 小山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
加藤 岳仁 小山工業高等専門学校, 機械工学科, 講師 (90590125)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 有機太陽電池 / 有機薄膜太陽電池 / 色素増感太陽電池 / 長波長ポリマー / 酸化物半導体 / 全塗布型太陽電池 / フラーレン代替 |
研究概要 |
有機薄膜太陽電池と色素増感型太陽電池の特徴を複合した低コスト、且つ高透過性を有する全塗布型有機無機太陽電池の開発を目的とする。本年度は特に、酸化物半導体プリカーサーを用いた電荷分離/電荷輸送層の相分離構造制御による高効率化を中心に研究を実施した。 p型半導体高分子であるMDMO-PPVをドナー材料、アクセプター材料として無機酸化物半導体プリカーサーを用いて、太陽電池素子を作製し、電荷分離及び電荷輸送が発現することを確認。アクセプター材料として一般的に用いられているフレーレン誘導体(C60PCBM)を用いた場合に比べ、解放端電圧が増加することを確認。太陽電池素子の飽和限界電流の比較から、電荷分離後のフリーキャリアの再結合確率が減少したためであると推測できる。 更に長波長吸収材料であるPTB7をドナー材料として採用。酸化物半導体プリカーサーとの組み合わせにより、光電荷分離を確認。太陽電池素子の外部量子収率スペクトルから、長波長吸収由来の電荷分離であることが示された。本結果より、エネルギーレベルの整合性については電荷分離の発現に十分であることが明らかとなった。 一方、C60PCBMをアクセプター材料として用いた場合に比べ、短絡電流密度が低下し、当初予想していた通り、フリーキャリア―の輸送性が低いことが推測できる。本課題を既に報告しているソルビリティーパラメーター(SP値)を指標とした相分離構造制御手法を用いて改善を行った結果、異なるSP値の溶媒を用いることにより短絡電流密度が大幅に変化することを確認した。高SP値溶媒を用いることにより、低SP値溶媒を用いた場合に比べ、大幅に短絡電流密度が増加することを見出した。 今後は混合溶媒による検討を行い、最適な溶媒を見出すと共に、研究計画に記載のアクセプター材料の高電子輸送性の付与について検討を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画である酸化物半導体プリカーサーと長波長吸収ポリマーから成る活性層による光電荷分離を確認することができ、エネルギーレベルの整合が示唆された。一方、溶解度パラメーター(SP値)を指標とした相分離構造制御を実施した結果、高SP値溶媒を用いることにより短絡電流密度が大幅に増大することを確認し、SP値を指標とした相分離制御が本系にも有効であることを見出した。従って、本研究は当初の計画に対し、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
SP値を指標とした単一溶媒における相分離制御に加え、接触角などを指標とした複合溶媒における相分離制御を行い、最適な相分離構造を見出す。さらに研究計画に記載のアクセプター材料の高電子輸送性の付与について検討を実施する。電子輸送層の結晶性を検証し、アニール温度及びその雰囲気などのスクリーニングを実施する。
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