現在,肌着やパンティストッキング等の捲縮(嵩高性)を有する繊維製品は,摩擦仮撚加工を施した加工糸が多く使用されている.そのため本研究組織では,ディスクフリクション仮撚機に着目し,加工糸の捲縮に影響を与える施撚部の糸径路ならびに糸張力のメカニズムについて解明し,繊維分野(炭素繊維・スーパー繊維等)に応用するための基盤技術の開発を継続して実施してきた.これまでの研究成果を踏まえ,加工糸の見かけ糸太さの周期性を解明することで,「ゆらぎ」を付加した意匠加工糸の生産方法を開発を試み,先駆的高機能を有する意匠加工糸の設計資料を得ることを目的とした. 本研究では,平成25年度にディスクフリクション仮撚のモデル機を使用してゆらぎを有する加工糸の生産方法を開発した.加工糸の生産方法として,モデル機の生産速度をサーボ機構を用いることで任意に変動させた.これにより糸張力に変化を与えることができ,糸とディスク間の摩擦力にも影響を与えることから,加工中の糸の撚数も変動する.その結果,加工糸に連続的に異なる捲縮を付与することが可能となった. 平成26年度には,生産したゆらぎを有する加工糸の形状評価に試みた.糸形状評価装置の評価方法として,視覚センサを用いた.視覚センサを用いることで,加工糸の形状の一部であるエッジを認識(エッジ処理)し,そこから見かけ糸太さを取得した.また,視覚センサを360度任意の角度から撮影することで,加工糸の断面形状を把握することが可能となった.同装置より,連続的に変動する糸張力と見かけ糸太さの相互関係,またゆらぎ発生の力学的メカニズムについて実験的に検証を行った.
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