| 研究課題/領域番号 |
25871035
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| 研究機関 | 福井工業高等専門学校 |
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研究代表者 |
池田 昌弘 福井工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (80597667)
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| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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| キーワード | 粘性流動 / 非アレニウス性 / フラジリティー / アルカリ金属化合物 / シリカガラス / 失透 |
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| 研究実績の概要 |
平成26年度の研究では、以下の通りの成果が得られた。
1) シリカガラスの失透は、アルカリ金属元素等の不純物を含む物質と接触する環境において著しく進行することは良く知られている。失透によって生じる結晶相への相転移が、反応雰囲気中に含まれる酸素や水蒸気の影響を強く受けることを既に報告した。今年度は反応雰囲気（N2, O2, Air）の条件を変えて、シリカガラスとアルカリ金属化合物を反応させた際の失透実験と物性評価を行った。得られた結果は、失透は反応雰囲気中で水蒸気の影響を著しく受けることが明らかになった。特に真空中では、アルカリ金属とシリカガラスはほとんど反応しないことも分かった。高純度窒素中の環境であったとしても、微量に含まれる水蒸気がアルカリ金属とシリカガラスの間で触媒のような役割を果たし、失透が促進される様子を観測した。
2) 前年度は、主にNa拡散による失透現象について研究を進めた。今年度はNaCl以外のアルカリ金属塩を使用し、失透に及ぼす差異を調べた。その結果、NaClの場合と同様の効果がみられた。また吸湿性の高い物質では顕著に失透が進行することから、H2Oが失透に果たす役割は予想以上に大きいことも分かった。
3) Ge-Seガラスの剛性率と粘性率の関係について報告されている実験データを基に調べた。まず、過冷却液体に対するShovingモデルを適用したところ、ガラス状態においても解析に適用できることが分かった。一方、高温域では、特にGe3Se7ではVFT型の粘性挙動が現れ、Shovingモデルと実測値の間に不一致がみられた。また、粘性の活性化エネルギーは、ガラス転移温度域で極大値をとる。このことは、試料の加熱に伴う軟化過程において、結合エネルギーに関連するエネルギー障壁に対応すると考えられる。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、反応雰囲気（N2, O2, Air）を変えてシリカガラスとアルカリ金属化合物を反応させた際の失透実験と評価を行い、シリカガラスの失透が促進される条件、ならびに失透抑制との関連性について研究を行った。真空中では、NaCl粒の周辺に失透部分が観測されるが、その範囲はNaCl結晶粒の周辺に限定される。また、X線回折（XRD）による分析でも結晶ピークは観測されなかった。そのため、反応雰囲気中に含まれる微量の水蒸気が失透促進に著しく影響していると考えられる。
次に、異なる反応雰囲気（真空、窒素、酸素、乾燥空気、および大気中）において、アルカリ金属化合物（NaCl, Na2CO3, KCl, Li2CO3）を変えてシリカガラスの失透実験を行った。反応雰囲気気体や接触するアルカリ金属化合物の違いが失透に及ぼす影響について調べた。
上記の研究結果は、応用物理学会で発表された。
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| 今後の研究の推進方策 |
従来の研究において、アルカリ金属不純物とシリカガラス間の反応に関して報告されているものはシリカ粉末と不純物との反応に関する結果がほとんどである。バルクのシリカガラス表面から内部に不純物が拡散する際の影響は不明であった。
しかし、昨年度の研究によって、表面からシリカガラスと反応する場合でもアルカリ金属種に依存して結晶相が変化することが明らかになったため、研究の新たな方向性が得られた。今後は、イオン半径と拡散の間の関係についても調べることを検討している。また、アルカリ金属不純物の融点付近から徐々に温度を上げた際に、Na、Li、K等の深さ分布を評価する。それらの結果を踏まえ、表面から深さ方向への結晶相の変化（クリストバライト、トリデマイト、石英）の相関を調べ、失透進行と結晶相との関連性を明確にする。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
国際会議の参加を取りやめたため。
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| 次年度使用額の使用計画 |
次年度に開催される国際会議に参加する際の旅費として使用する。
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