研究課題/領域番号 |
25871038
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研究機関 | 神戸市立工業高等専門学校 |
研究代表者 |
長谷 芳樹 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60448769)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 人体モデル / 3次元シミュレーション / マルチセンサ / 音波伝搬 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,歩行などの運動時の体内の音波・振動伝搬の分布を定量的に推定することを目的としている。申請者は本研究課題開始以前に試験的に超音波解析用の3次元人体モデルを作成し,簡易的に人体全身の内部の音波伝搬を可視化することに成功していた。しかしながらこのモデルでは実測値との比較検討等は最低限にとどまっており,モデルの妥当性の詳細な確認や可動モデルの作成が課題となっていた。 初年度の平成25年度には,体表面に接触型の多チャンネル振動センサと圧力センサを装用してリアルタイムで計測するシステムを構築した。これらのデータは,同時に設置している深度センサ(奥行きセンサ)からのデータと同期して解析することが可能となっている。 2年目の平成26年度には,それまでに被験者を募って測定したデータの解析および数値モデルを用いたシミュレーション結果を比較検討をおこなうとともに,数値モデルの形状を変化させたシミュレーションをおこなった。結果,実測結果とシミュレーション結果との間に興味深い関連性を発見した。また,モデル形状を変化させたモデルであっても,体表面での測定から体内を伝搬する音波の振幅を推定できる可能性を示した。 この進捗状況を踏まえ,最終年度である平成27年度にはこれらのデータの解析および実測システムの測定精度向上に取り組むと共に,MRI画像等を用いてより解像度の高いモデル作成を試みる。また,シミュレーション結果を効率的かつ直感的に可視化できるツールの作成も検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の報告書に記した通り,平成26年度は現在の所属と並行して海外で外部研究員としての身分でも研究を進めた。所属した研究室はシミュレーションに多大なノウハウを持つため,本課題申請時に予定していたプランを変更して,モデル作成やシミュレーションなどを優先的に進めた。結果,人体のモデル形状を変更してのシミュレーションに成功し,さらに,モデル形状を様々に変化させたモデルであっても,体表面での測定から体内を伝搬する音波の振幅を推定できる重要な可能性を示した。反面,実際の人体を用いての実測については著しい進展があるとまでは言えず,モデルの高解像度化と並行して,実測精度の向上が必要である。これらの状況を総合し,現在の達成度を「おおむね順調に進展している」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り,研究計画よりも進んでいる部分と遅れている部分がある。最終年度である平成27年度には,これらの進捗状況を鑑み,適切なエフォート配分をおこなう。具体的には,(1)すでに得られているデータの解析(類似モデルを用いた新たなシミュレーションの実施を含む),(2)実測システムの測定精度向上,(3)MRI画像等を用いたより解像度の高いモデル作成,(4)シミュレーション結果を効率的かつ直感的に可視化できるツールの作成の検討,をおこなうが,このうち,(1)と(2)は必須であり,重点的に取り組む。(3)にもできる限り取り組むが,短期的な結果を求めるのではなく,将来的に有用なデータの収集を主眼とする。(4)については,若干優先度は低いが,申請時以降に急速に一般化していた3D可視化デバイスなどを積極的に用いて検討を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前日の通り,海外の研究機関にも所属することになったため,研究計画を変更したため。平成27年度に研究の遂行に必要な物品も購入予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
計算機,実測装置の周辺機器,および旅費等に充当する。
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