研究課題
本研究課題では,前年度までに,体表面に設置した多チャンネルセンサによる実測結果および数値シミュレーション結果の比較検討から得られた知見から,体表面での測定から体内を伝搬する音波の振幅を推定できる可能性を示した。最終年度には,まず,これまでの年度に得られた知見について詳細な検討をおこなった。結果,さらなる正確なシミュレーションの実施にはモデルの高精細化と媒質での吸収減衰の考慮等が必要であることが示唆されたため,これらに取り組んだ。この目的のため,さらなるモデルの高精細化に伴って必要となるシミュレーションプログラムの効率化,高速化に取り組み,不要な計算式を可能な限り除外して計算するアルゴリズムの考案や並列処理部分の効率化などにより,メモリの節約と演算速度の高速化を実現した。なお,媒質の吸収減衰についても取り組みを始めたところであり,実際の現象とシミュレーション結果との整合を確認している段階である。これに加え,3次元シミュレーション結果を効率的・直感的に把握できる可視化システムを開発した。このシステムは,シミュレーションソフトウェアから可視化に適した形式で結果を出力しておく部分と,GUIを介して任意の時刻・任意の面での音場の分布を高速に可視化することができるようになっている部分から成る。このシステムにより,人体のどの部位でどのような音波伝搬現象が生じているのかをこれまで以上に高速・直感的に理解することが可能となった。さらに,3次元ヘッドマウントディスプレイを用いて3次元音場のシミュレーション結果をリアルタイムに立体的に可視化できるシステムも試作した。現在のところワークステーションの処理速度面の制約から人体モデルのような大規模なシミュレーション結果の表示には対応できていないが,将来的に重要な技術になると考えられる。
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