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2013 年度 実施状況報告書

機能性伝熱面による相変化伝熱の促進とマイクロヒートパイプへの展開

研究課題

研究課題/領域番号 25871042
研究種目

若手研究(B)

研究機関宇部工業高等専門学校

研究代表者

徳永 敦士  宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 助教 (20609797)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード熱工学 / 滴状凝縮 / 機能性伝熱面 / MEMS / 伝熱促進 / 濡れ性こう配
研究概要

一般的に,滴状凝縮において高い熱輸送特性を得るためには成長した液滴の離脱を促進する必要があり,例えば重力や蒸気のせん断力などの利用が考えられてきた.しかしながら,ナノ・マイクロスケールにおいて滴状凝縮を活用しようとする場合,重力などの体積力よりもむしろ表面張力などの表面力が支配的となり,重力や蒸気を活用する液滴離脱促進に代わって液滴を積極的に排除する機構が必要である.これまでに伝熱に貢献度の高い数ミクロンオーダーの液滴を活用する伝熱面の製作を行ってきたが,フラッディングによって疎水面が覆われてしまう問題点があった.そこで,この問題を解決するために,濡れ性こう配の機能化を与えた伝熱面を作製することとした.シリコンウエハを伝熱面として使用し,親水面として熱酸化により酸化膜を成膜した.その後,撥水処理剤であるCytopを厚さ600nmでコーティングし,疎水面を形成した.さらにエッチングによって,アスペクト比600,三角パターンの底辺が24ミクロンの濡れ性こう配を作製した.濡れ性こう配の効果を検証するために10マイクロリットルの液滴を滴下したところ,接触角の差で液滴が移動することを確認した.そこで,この濡れ性こう配を有する伝熱面を用いて低圧条件下での凝縮実験を行った.高速度カメラ及びデジタルカメラで撮影した凝縮面上の滴状凝縮の割合を計測したところ,これまでに作製したパターンと比較して高い値を示すことがわかった.すなわち,濡れ性こう配は液滴の排出に効果的といえる.また,凝縮熱流束及び熱伝達率を計測したところ,フラッディングが抑制されたためにラインアンドスペースのパターンよりも高い値を示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は濡れ性こう配を伝熱面上に形成し,その効果を検証することを目的とした.これまでに作製したラインアンドスペースの伝熱面と比較して,液滴の排出能力及び熱輸送特性も大きく向上し,伝熱に有効であることを示した.引き続き実験を継続し,より有効なパターンの検討を行う計画である.

今後の研究の推進方策

引き続き,濡れ性こう配の有効性を検証するための実験を継続する計画である.これまでに,ラインアンドスペースのパターンと比較して,濡れ性こう配をパターニングすることにより,排水効果及び熱伝達特性を向上させることが出来た.今後,より効果的なパターン形状を検討するためにアスペクト比を変更した伝熱面を製作する.一方で,形状的に滴状凝縮を実現するための基礎実験として,シリコンウエハにマイクロサイズの円柱を加工しその有効性について検証する.これを実現できれば,Cytopを必要とすることなく機能性伝熱面を作製することができる.

次年度の研究費の使用計画

約30万円ほどの次年度使用額が生じたが,これは一種類の濡れ性こう配しか作製することが出来なかったためである.濡れ性こう配の有効性は示すことが出来たため,次年度に復数パターンの濡れ性こう配を作製する.
約30万円ほどの次年度使用額が生じたが,これは一種類の濡れ性こう配しか作製することが出来なかったためである.次年度は得られた濡れ性こう配の知見を基に,複数パターンの濡れ性こう配を製作する.また,より詳細な熱伝達特性を計測するために表面温度計測用の薄膜熱電対を作製し,実験を行う計画とした.これらの製作にかかる費用として使用する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 濡れ性勾配を有するマイクロ複合伝熱面における凝縮熱伝達2013

    • 著者名/発表者名
      水谷政樹,徳永敦士,長山暁子,鶴田隆治
    • 学会等名
      日本機械学会九州支部鹿児島講演会
    • 発表場所
      鹿児島大学
    • 年月日
      20130927-20130928
  • [学会発表] Effect of Micro-structured Surface on Dropwise Condensation Heat Transfer2013

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Tokunaga, Masaki Mizutani, Gyoko Nakayama and Takaharu Tsuruta
    • 学会等名
      ASME 2013 11th International Conference on Nanochannels, Microchannels and Minichannels
    • 発表場所
      Hokkaido University
    • 年月日
      20130616-20130619

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公開日: 2015-05-28  

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