南極雪氷に含まれる粒子状物質の起源には、大陸、火山、海洋、生物、宇宙などがある。無機元素あるいは化合物の濃度や同位体の分析を行うことで、粒子状物質の発生源やその寄与の大きさに関する情報が得られる。そこで、南極高緯度地域の物質循環の理解を深めるために、南極雪氷試料に含まれる無機元素および化合物(陽・陰イオン)の濃度および同位体比の分析を行った。またこれらの試料について、固体微粒子濃度の分析をあわせて行った。
南極雪氷試料に含まれるストロンチウム、ネオジム同位体の分析を行った。南極雪氷試料は汚染無く試料確保することが難しく、試料に含まれる元素濃度は非常に低い。そこで、微量なストロンチウム、ネオジムの分析に特化した試料前処理法を用い、同位体の分析を行った。元素濃度の測定は四重極型誘導結合プラズマ(ICP)質量分析計、同位体比の測定は磁場型ICP質量分析計を用いて行った。
南極雪氷試料に含まれる硫黄化合物(メタンスルホン酸等)の化学種別の同位体の分析を行った。南極雪氷試料に含まれる大部分の化学種の濃度は低濃度である。そのため硫黄化合物については、イオンクロマトグラフを改造して分取装置を作成し、目的成分の単離、濃縮を行った。さらに磁場型質量分析計に元素分析計を接続し、単離した目的成分(液体または乾固させたもの)の同位体比の測定を行った。
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