本研究の目的は、オンラインニュース接触が有権者の政治的知識量にもたらす影響について実証的に明らかにすることであった。 最終年度である平成26年度は、接触するオンラインニュース情報を操作するフィールド実験を用いて、オンラインニュース接触と政治的知識の因果関係の同定を行った。具体的には、実験参加者のブラウザにインストールされるアドインソフトウェアを用いて、ポータルサイトのトップページを模した実験サイトを構築した。実験における処置は表示されるハードニュースのヘッドライン数であり、ハードニュースの供給量を外生的に変化させたときに実験参加者の政治的知識量が影響を受けるかどうかを検証した。数か月に渡るフィールド実験の結果、オンラインニュースで表示されるハードニュース量が多いほど、実験参加者の政治的知識量が上昇することが示された。この知見は、これまで因果関係が不明確であったオンラインニュース利用と政治的知識の関係について、これまでで最も明確な形で因果効果を実証したものとして大きな意義を持っている。 また、平成26年度は本研究で得られた知見の発表および関心を共有する国内研究者とのディスカッションにも注力した。平成25年に実施された研究がPolitical Communication誌に採択されたほか、平成26年のInternational Society of Political Psychology、Conference on e-Democracy and Open Government (CeDEM) Asia 2014 at City University of Hong Kong、The Asian Network for Public Opinion Research (ANPOR) at Niigataにおいて研究発表を行った。
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