銀河団スケールで観測により数マイクロガウス の磁場が確認され、その起源を知るために、局所的なものから大局的なものまで多くの磁場の生成や進化のモデルが提唱され、多くの研究者が宇宙の晴れ上がり以前にナノガウス 程度の磁場が必要であることを支持するようになった。この背景のもと、我々を含む国内外の多くの研究者が、原初磁場の初期宇宙における影響を研究し、原初磁場が宇宙論だけでなく天文・天体物理学の主要な分野で重要な役割を担っていることが分かってきた。 この宇宙の原初から存在していると予想される原初磁場は、宇宙の大規模構造の元になる初期物質密度揺らぎにも影響する。以上を考慮して研究を進めた結果、宇宙の晴れ上り以前に磁場があると、実質的な放射物質エネルギー比をと流体の音速に影響を与えるため、初期物質密度揺らぎの観測量であるmatter power spectrum のピークの位置と振幅が変わり、特に、波数k = 0.01 [1/Mpc] 以上のmatter power spectrumの振幅を減少させることが分かった。 物質密度揺らぎはweak lensing effect のソースである。さらに研究を進めた結果、我々は、原初磁場のエネルギー密度を正しく考慮した際は、weak lensing effectに由来する宇宙背景放射偏光揺らぎも減少させることを解明した。
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