研究課題/領域番号 |
25871056
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
嘉治 寿彦 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 助教 (90463794)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 薄膜成長 |
研究概要 |
共蒸発分子誘起結晶化法は、研究代表者らが最近、有機薄膜太陽電池への応用を意図して考案した、真空蒸着中に液体を導入することで有機混合膜の結晶化を促進する手法である。しかし、研究を進めるうちに、この手法は有機混合膜結晶化に限らない真空蒸着法の本質的な拡張法であることが明らかになってきた。 本研究ではこの共蒸発分子誘起結晶化法の適用範囲を結晶性有機半導体のみならず、アモルファス性の有機半導体材料・無機金属材料・無機金属酸化物材料・アルカリハライド材料などの異種材料へ拡張することを目的とする。 今年度は上記の目的のため、蒸着装置における成長制御法の精密化を進めるとともに、結晶性有機半導体としてC60・H2Pc・ルブレン、アモルファス性有機半導体としてAlq3を用いて、共蒸発分子誘起結晶化法により薄膜を作製した。 その結果、上記のどの有機半導体を用いても共蒸発分子誘起結晶化法を用いた場合に、用いない場合と比べて大幅に薄膜形態が変化することが確認された。その一方で、C60以外の分子においては、基板温度が70℃の時、基板温度の影響による薄膜中の結晶核の3次元成長を抑えられないために、成膜後の定量的な評価が難しくなる問題も露呈した。この解決策として、特にH2Pcにおいて、基板温度40℃での薄膜成長をおこなったところ、3次元成長を抑制しながら、共蒸発分子誘起結晶化法により結晶粒子の大きさを変化させることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験装置の移設の必要が生じたため、および、蒸着条件の精密化に想定よりも多くの時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、引き続き、異なる材料に対して共蒸発分子誘起結晶化法を適用して薄膜を作製していく。 研究計画時に明らかでなかった課題は、成膜後の薄膜の定量評価のためには薄膜の3次元成長を抑える必要があることである。そのため、材料ごとに適した基板温度を検討しながら、研究を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品の購入において端数が生じたため。 薄膜成長のための材料や、真空機器、旅費などに使用予定である。
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