研究課題/領域番号 |
25871062
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
市川 光太郎 総合地球環境学研究所, 研究部, プロジェクト研究員 (70590511)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / タイ国:オーストラリア |
研究概要 |
調査初年度として、現地研究者と電話による打ち合せを実施した。南スーダンとの政治的摩擦から政情不安定になる可能性が高いこと、紅海大学の学長が変わってしまったこと、および総合地球環境学研究所と紅海大学の間で締結されたMOUの期限が切れることから、調査を3カ年に亘って継続することが難しいことが分かった。代替の調査地候補であるタイ国とオーストラリアにおいてそれぞれカウンターパートとなるタイ国海洋沿岸資源局およびカーテン大学との打ち合せを開始した。 タイ国におけるジュゴン調査について、海洋沿岸資源研究所のPinsak Surasuwadi所長、海洋沿岸資源研究開発所のKanjana Adulyanukosol所長、プーケット海洋生物学センター海洋希少種ユニットのKonkiat Kittiwattanawongユニット長と共同研究のための打ち合わせを実施した。タイ国の気候もスーダン・ドンゴナーブ湾のように季節が雨季と乾季に二極化している。また、タイ国のカウンターパートとも過去に共同研究実績があり、調査許可も取得できるため代替の調査地としては申し分ない。現地調査を11月と2月に実施する予定である。 オーストラリア・シャーク湾のジュゴン調査について、カーテン大学のMiles Parsons博士と共同研究の打ち合わせを実施した。調査時期として、9月から10月が最適であり、調査許可の取得が容易であることを確認した。シャーク湾も乾燥熱帯沿岸域に属するため、ジュゴンは冷水期と温水期を経験する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スーダンにおける調査の継続が困難になった理由は、政情不安、カウンターパートの学長交代、MOU期限切れ、である。政情不安については予期しており、調査地であるドンゴナーブ湾における安全を担保するために、地元警察との連携を深めていた。しかしながら、カウンターパートの紅海大学の学長交代とそれによる連携低下で期限がきれたMOUでは紅海大学として調査許可を申請するための書類を発行できない状況は予期できていなかった。調査地変更を検討し、採択期間2年目以降に効率よく調査を実施するために初年度は打ち合わせを重ねて研究体制の整備に努めたため達成度が「やや遅れている」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度はタイ国トラン県タリボン島の雨季(11月)と乾季(2月)においてジュゴンを捕獲し、GPS・音響ロガーを装着し、詳細な行動観察を行う。1 回の実験で約2 週間分の行動データを取得する。延べ7個体分のデータを取得する。 <データ解析:ジュゴンの行動圏と摂餌時間・場所・量の解明>GPS・音響ロガーに記録されたジュゴンの摂餌音の時刻と回数から、ジュゴンがいつ、どれだけ食べたのか(摂餌時間と相対的な摂餌量)を推定する。GPS により得られた位置情報をもとに地理情報システム(GIS)をもちいて行動圏を算出する。 <データ解析:重要な摂餌場の特定、それぞれの環境条件の精査> ジュゴンの移動軌跡と摂餌音の情報から摂餌場を特定する。摂餌場における利用頻度、摂餌量などを比較し、それぞれの摂餌場の重要度を相対評価する。GIS を用いて、重要な摂餌場のレイヤーを作成する。さらにタリボン島周辺海域の環境条件(海草藻場、深度など計測済み)をレイヤーとして構築し、摂餌場のレイヤーと統合することでそれぞれの摂餌場の環境条件を精査する。調査海域のメッシュ処理を行い、重要な摂餌場と類似した環境条件を有するメッシュを可視化し、特に保護すべき海域の指針とする。 <研究発表>本研究結果を日本水産学会において発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査地であるスーダンにおいて、南スーダンとの政治的摩擦から政情不安定になる可能性が高いこと、カウンターパートの紅海大学の学長が変わってしまったこと、および総合地球環境学研究所と紅海大学の間で締結されたMOUの期限が切れることから、調査を3カ年に亘って継続することが難しいことが分かった。 初年度は代替の調査地を選定するための打ち合わせ旅費を中心に計上した。候補であるタイ国とオーストラリアにおいてそれぞれカウンターパートとなるタイ国海洋沿岸資源局およびカーテン大学との打ち合せを開始した。採択期間2年目の11月と2月にジュゴン調査を実施するため、初年度の予算を次年度に繰り越した。 平成26年度はタイ国トラン県タリボン島の雨季(11月)と乾季(2月)においてジュゴンを捕獲し、GPS・音響ロガーを装着し、詳細な行動観察を行う。1 回の実験で約2 週間分の行動データを取得する。延べ7個体分のデータを取得する。調査には旅費、物品購入の他、傭船費や庸車費などが必要である。物価が比較的安いタイ国を調査地とすることで今年度内に2回の調査を実施することが可能になる。 経費の内訳予定は、11月の調査に旅費20万円、物品50万円、その他10万円、2月の調査の旅費に25万円、物品40万円、その他10万円、学会発表および打ち合わせのための旅費に35万円を使用する計画である。
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