研究課題/領域番号 |
25871063
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
東城 文柄 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90508392)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 土地利用・景観 / 東南アジア / 森林減少 / 地域研究 |
研究概要 |
森林減少は地球環境問題のキーとなる指標である。本研究では、1.東南アジアの特に過去50年以上の森林減少の実態とその社会背景(動因)の全体性と地域個別性の相互作用を明示化、2.同地域の森林保全の展望を議論、3.森林減少に関する東南アジアと他地域の地域間比較を可能とする基本的方法論(主として森林変化と動因の融合的な解釈に関する)を確立、の3点を研究の目標として、RS/GIS分析と地域生態・社会調査によって、森林生態環境の分布と変化の履歴と、変化の背景にある社会的セッティング(コンテクスト)の共通性で東南アジア地域を類型区分(マッピング)を進めている。 平成25年度前半においては、MODIS衛星画像のNDVI等のフェノロジーパターンによって広域の森林被覆分布の定量化を進めた。8日間合成MODIS画像のNDVIの季節変動を多年度分析した結果(Tojo et al. 2011)に基づいて、特に5月、10月、1月の3時期/32日間合成画像データを用いて、東南アジア大陸部の土地被覆(各種の森林タイプ、水田、耕地、水域等)と土地利用(稲作の作付け回数など)の差異が検出できるか試みた。 平成25年度後半においては、上述の森林/土地被覆分類図を用いて、東南アジア/バングラデシュ地域におけるグランドトゥルース調査を頻繁に実施した。同地域には、上述の分布図の精度評価に重要な多くの地理的ポイントが含まれており、これらの調査の結果を踏まえて、平成26年度からは分類図の完成度を確立し発展的なGIS/RS分析(加えて他地域も視野に入れた追加的なグランドトゥルース調査)を開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2013年度前半に作成した分類図の分類クラスのうち、比較的森林被覆率の高い土地クラス(Closed Forest)と劣化した森林または疎林地(Degraded and Sparse trees)の総面積と地球地図(ISCGM)の樹木被覆地図(Tree Map)データやFAO統計値と比較したところ、例えばバングラデシュに関する結果に注目すると、FAO統計値 2008年と比較して、本研究の推定値がよく一致しているのに比べて(+0.9%)、ISCGMのデータを集計した結果は森林被覆率が過大になっていた(+15.7%)ことが確認できた。これにはISCGMのデータにおける同国北部の広大な浅水域と森林の誤分類が大きく影響していた。このように本研究の方法が、広域の森林分布の正確な評価に有効な見込みが大きいことを確認し、研究全体の基礎となるデータ作成の目途が立った。加えて2013年度後半には、頻繁な現地調査を実施することが出来たことも、研究がおおむね順調に達成できたと判断できる要因の一つである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は平成25年度に遅れ気味であった、人口密度分布やアクセスビリティと言った社会的要素の分布を反映したGISレイヤーの作成を中心に、森林・土地被覆分布の地域類型と社会的要素を複合した地域類型分布の分析を進める。同時に、当初より実施計画に記載されているASTER, CORONA衛星画像等を活用した、1960年代から現在までの長期的な森林変化の分析の詳細かつ定量的な分析を進めていく。 可能であれば、上記の分析によって得られた複合的な地域類型分布と定量的な森林変化が交わる興味深い地域の分布を明らかにして、その背景にあるより地域個別的な社会的セッティング(コンテクスト)の調査分析を、行政・統計資料、文献、現地調査等によって進める。可能な限り、バングラデシュを中心とした南アジア地域一帯、およびラオスやベトナムといった地域を視野に入れた現地森林調査等も実施したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品発注先のミスにより見積もり価格が実価格と異なっていたため、想定していた支出額との差額が生じてしまった。 各種調査機材・消耗品の購入に充てる。
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